26 Dec 2011

GMAT Review (12th) の練習問題 (Math)

風邪を引いて+クリスマス休暇で進んでなかったThe Official Guide for GMAT Review (12th edition)のMathのSample Questionsを解いてみました。

まずはMathの方ですが、Problem Solvingが54分掛けて19/24(ケアレスミス2、単語で躓いたもの2、数分で解けなかったもの1)で、Data sufficiencyが42分掛けて21/24(ケアレスミス1、単語で躓いたもの2)という状況で思ったより間違えました。ちょうど96分で48問、1問平均2分なので慣れてくれば時間の問題は全くなさそうです。ただ、試験的なお勉強が久しぶりなのを差し引いても、きちんと集中してやらないと満点は出なそうですね。明日はVerbalをやってみて、あとはおなじOfficial Guideの問題を時慣れたら、無料テストを試して、計画通り来年1月にでもとりあえず1回受けてきますかね。

GMATを主催している団体のHPから無料テストをダウンロード(会員登録が必要)しておきました。
http://www.mba.com/the-gmat/download-free-test-preparation-software.aspx

なお、GMATのフォーマットについて更新があったようで、2012年6月からGMATにグラフやデータから意味合いを読み出すIntegrated ReasoningというSectionが増えるようですね。まあこれは仕事で慣れている分野なので問題はなさそうです。あと、採用する側からしたら、1年目・2年目は実際の学生というサンプルが少ないためにこのスコアで優秀かどうかを判断しにくいと思うので、あくまで様子見程度にしか使われないのではないでしょうか。

公式の説明はコチラにありました。

「since, as, because」の使い分け(WSJより)

sinceやasは軽い、と何となく印象で捉えていたのがはっきり差が分かりました。φ(..)メモメモ

http://jp.wsj.com/Life-Style/node_365583より以下コピペです。
【表現のツボ】
今週は、日本人が見落としがちな理由を表す「since, as, because」の使い方の違い。例文冒頭の後半に出て来る「...since they may only 」の「since」だが、これは「as」に置き換えても違和感はないが、「because」に置き換えると問題が起こる。筆者の意図と異なってしまうから だ。
というのも「as, since」は既に皆が知っていることを理由として提示するときに使うのに対し、「because」はまだ皆が知らないことを理由として強調したい時に使うのが原則だからだ。つまり株主総会の要求や出席の条件は皆が知っていることで筆者のこの文章の主眼は「障害に直面する恐れ」にある。このため 「since~」で始まるこの文章の訳では理由を表す「~からだ」をつけない工夫がされている。
この違いは、文章構成にも影響する。どの 言語も程度の差こそあれその傾向があるが、英語でも重要なこと、自分の最も伝えたいことを文章の後ろの方へ置こうとする。このため「as, since」で始まる理由を表す従節の文章は冒頭に来ることが多いのに対し、「because」で始まる理由の文章は主節の文章の後に来るのが通例だ。
例を挙げると「Since I was tired, I went to bed as early as 8pm.=疲れていたから、なんと午後8時にはベッドに入った」という文章は「午後8時という早い時間に寝た」ことを伝えるのが筆者の主眼なため、理由を 表すsinceの文章は前に来ている。ところが「because」の文章では「I went to bed early last night because my boss unexpectedly called and asked me to come to the office at 6am this morning=昨晩早く寝たのは、突然ボスが電話してきて今朝は6時から仕事してほしいといってきたからだ」となる。
つまりこの文章に先立つ会話などで、相手に昨日早く寝たことを伝えてあって、それを不思議がる相手を納得させるため、相手の知らない理由の事実(ボスの予期せぬ早朝出社の要請)を印象がより強く残る文全体の後半で伝えるため「because」を使う。

21 Dec 2011

欧州債務危機の日本改革への意味合い

本日欧州債務危機の某セミナーを聞いてきて面白いと感じた点(と日本改革へのインプリケーション)を備忘録的に残しておきます。


  • 政府予算引き締めは景気後退時に行うとさらなる景気後退による予想以上の税収減を招き、さらなる引き締めを要するという悪循環に陥りやすく、そうなると政治的にも不安定さが一気に高まるため、外需頼りの成長戦略では世界の成長エンジンがガス欠になると一気にナローパスになるリスクがある
    • 意味合い:現在生産性の低い農業並びにサービスセクターを中心とした内需経済の構造改革が重要
  • 銀行の債権エクスポージャーや貿易取引高からすると日本経済への直接の影響は限定的。アジア新興国(含む中国)との結びつきはより強いものの、90年代のアジア通貨危機を経てアジア諸国は対応ができるようになっているので間接的な影響も小さいと予想される
    • 意味合い:冷静な資金循環統計=ファクトからorder of magnitudeをまずは捉える姿勢の大切さ
  • 確かにEURO解体まで問題が発展したらGDP世界3位の経済である日本経済への影響は大きいが、ドイツがEUROを背負って事実上のマルク帝国を築くかどうかの政治的な決めの問題なので回避は可能。さらに、ギリシャは欧州にとっての対トルコ及びイスラム諸国との緩衝地であるので地政学的に守る方向に動くはず
    • 意味合い”東アジアとくに朝鮮半島を中心とした地政学的な大局観・歴史観の醸成の必要性
  • いつも差し迫った危機を訴えるのはマスメディアとエコノミストで、政治と国民の考える時間軸はもう少し長いはずなので政治リーダーは少なくとも数年間のスパンを持って考え実行するべきである
    • 意味合い:民主国家の権力分立におけるマスメディアのガバナンスをどう最設計するかの構想も一体的に必要

15 Dec 2011

30 Day GMAT Success 2nd Edition

30 Day GMAT Success 2nd Edition


GMATを短期間に伸ばす必要がある人にとって非常に実践的なアドバイスが書かれています。特に、最初に模擬テストを(mba.comからダウンロードして)受けてみてから、どこか難しかったかを書き記してから採点を見て優先順位を決めるくだりは非常に参考になりました。英語なのでもちろんある程度英語を勉強してからの前提になりますが、先にTOEFL対策をしてある程度の文章ならさらっと読めるようになった当たりでオススメです。ちなみに、Amacon.comではKindleバージョンもお安く出ています。

14 Dec 2011

粉飾の論理(著:高橋 篤史)

高橋 篤史
東洋経済新報社
発売日:2006-09

昨今話題になっているオリンパスの粉飾事件に触発されて、過去の代表的な粉飾事件の概要を知りたいと思って手に取った本著ですが、連結決算導入前後の日本の大企業の粉飾の典型としてのカネボウ、無形資産中心のIT業界に対する監査の難しさと上場のデメリット側を突きつけたメディア・リンクス、そして資本市場を活用するための粉飾という新しい形を示したライブドア、と三者三様なケースを、丹念な取材を元として詳細に追いかける良書でした。

個人的な感想を付け加えるなれば、著者同様、その脇における監査法人の不作為や癒着、曖昧な立ち位置には疑問を感じることが多かったです。プロフェッショナルとしての監査を成立させるためには、ソフトローや個々人の職業倫理に全てを帰するのではなく、粉飾を見過ごした場合の一定期間の資格停止などの罰則を厳しくするハードローの改正や、監査フィーの出し手が(一部でも)取引所になるなどの思い切ったインセンティブ構造の変化を作らないと、また同じような粉飾とそれを見過ごすインセンティブを与えかねないのかな、と思います。

昨今、日本のスタートアップ業界も再び活気が出てきているように思えますが、これらの事例を他山の石として、またわけの分からない顛末にならないように、起業家のみならずそれをサポートする監査の方々にもある種踏み込んで取り組んでいただきたいと感じました。




13 Dec 2011

「共産党宣言」(著:マルクス/エンゲルス)を読んで考えた、21世紀の資本主義への政治的処方箋

薄い本ですが、序文等を覗いた本文は五十頁程度、骨子の部分は数十頁で意外とあっさりと読むことが出来ました。

読み終わって感じたのは、この宣言はあくまでも資本主義に対するカウンターテーゼとして最も意味をなしたのではないかということです。

まず、資本主義の導入がこれまでの封建的な貴族などの身分制度を崩壊させて、その帰結として資本を持つごく一部のブルジョア階級とプロレタリア階級に分かれていくというロジックはおそらく現代にも当てはまるものだと思います。

その階級差への対策として、資本では負けても人数では多数を占めるプロレタリアートが経済的自由を勝ち取るためにまずは政治的自由(民主主義からひいてはプロレタリア革命まで)を得るのが先決であり、その数の力を利用するため「万国のプロレタリア団結せよ!」に至る処方箋を提示したのがこの宣言と理解しています。

この宣言があったことで、ブルジョア階級としては私有財産を否定されるような革命をされるよりはましという比較衡量から、民主主義を導入し社会主義的な所得分配策を実施していき、結果としてプロレタリア階級の政治的自由・経済的自由は大幅に増すことになって安定した、というのが20世紀の政治観としては妥当なのではないかと思います。その観点からは、この宣言は当初目指していたところを一定程度は果たしたとも言えるのではないでしょうか。

それでは、今後の世界においてプロレタリア革命が成立し得るのかという観点では、ITCの発展がコミュニケーションをやりやすくしている一方で、資本市場に対する資本家としてのアクセスの容易化がそもそもブルジョアとプロレタリアを分けることを困難になっており、さらに軍事革命についてはシビリアンコントロールと軍事技術の高度化が先進国における軍事革命(国軍でも私兵でも)を非現実的なものにしているため極めてナローパスであり、また社会民主主義的な政党が成立している国(ほぼ全ての先進国)ではそちらから政治的自由を行使した方が現実的になるため難しいのではないでしょうか。

今出し得る処方箋としては、今世紀に関しては、経済的には国を巨大な保険システムだとみなして(外交/軍事的な観点を一旦棚上げ)各人が拠出を出して最低限の生活水準を保証しつつそれ以上はガチンコで世界で競争させていくしかないのかな、と思います。新興国が人口ボーナスを武器に成長を続け経済の重心が外にどんどん向かう間は給与格差がグローバルに縮まる一方で国内格差はどうしても広がる期間であり、かつ残念ながら分配政策を続けられるほどの富はどの国も持ち続けないので、「そういう世界で暮らしていく覚悟」を早いうちから共有する必要があると思います。人口増加が90億人くらいで一段落するフェーズに入ったらまた別の世界観が広がると思いますが、それはその時の人たちが考えるでしょう。

そこで国内政治の論点の一つ目として、覚悟を持つ前に残念ながら年をとって他のことができなくなってしまった人を助けるべきかどうか、これは下手な世代間対立を煽るのではなく冷静にきちんと数字で若い世代に政治が問うべきだと思います。そうすればおそらく、As far as it's payable, yes. というところをマジョリティとして形成することが可能なのではないでしょうか。

そして二つ目の論点としては、「最低限の生活水準」の程度であり、低負担ならば低水準、高負担ならば高水準という当たり前のロジックを理解させた上で、国民がどれだけ隣人を同胞と思うか、助けたいと思うか、を民主主義で決めればよいと思います。これは北欧型で高負担になるよりは、もっと低い水準(現在の水準程度)に合意され得る懸念があると思いますが、個人的には、多少負担が増えたとしても、教育や医療に関して安心して生きられる水準まで引き上げたほうが成熟した国としてとよい社会だと考えてますので、国民負担率の水準としては現在の40%未満ではなく大陸ヨーロッパくらいなので50-60%のあたりになるように国民合意を作りにいく必要があると思います。

なおもう一つ棚上げした環境問題などの外部不経済への処方箋は、これはたとえ牛歩でも少しずつでも合意をして進めていく(絶対にテーブルから離れない、離さない)というスタンスを取り続ける一方で、排出権取引のようにどれだけ経済に取り込めるかのイノベーションを進めていくしかないと思います。

12 Dec 2011

GMAT初トライ

アゴスの無料オンライン試験で、GMATのQuantitative(数学)とVerbal(文法、読解)を受けて見ましたが、Quantitativeは8割、Verbalは7割の出来でした(ざっくり換算して610点くらいのよう)。思ったよりもVerbalが難しいというかtrickyでした。

僕はGPA(大学の成績)が群を抜いて悪いのでGMATでオツムの出来を証明するため720以上を目標にしており、そのためにはQuantitativeはほぼ満点(以下の縦軸で50点)であとはVerbalを8割(以下の横軸で40点)以上を目指すのが目安になりそうです。

Quantitativeは数学用語を覚えて少し昔の勉強を思い出せば満点は取れそうですが、Verbalは受験対策をしないと無駄に時間を取られそうな気がしますね。無駄なお金は使いたくないが時間を買うと思って場合によっては留学予備校も使うかなぁ。

11 Dec 2011

この国の統治機構の「ねじれ」

友人が主催した政治改革フォーラムを聞きながら、この国の統治機構は「ねじれ国会」だけではなくそうとうに「ねじれ」ているんだなあということを、6層に分けて改めて整理しました。


  1. 三権分立のねじれ: 内閣提出法案を国会が修正し放題と強い、司法が弱すぎて(統治行為論で逃げる)バランサーがない
  2. 国会のねじれ: 参議院の拒否権が強すぎて法案が通らない(今国会の法案成立率は14/38本の34%)
  3. 政策立案のねじれ: 役所と与党のダイレクションが一致しておらず政治の意図や霞が関の政策立案機能が十分に生かせない
  4. 政党内のねじれ: 二大政党ともに政策理念で成立している党ではないので党内で百家争鳴ばかり
  5. 選挙制度のねじれ: 都市と農村の一票の格差が大きいまま放置サれている、妥協の産物である小選挙区比例代表並立でどのような代表を選ぶかも曖昧
  6. 有権者のねじれ: 歪んだ人口構成と世代間投票率ギャップが、年金に代表される世代間再分配政策と相まって世代間対立の土壌となっている


さてさて、どっから変えたらいいもんやら。一つ思うのは、これだけぐねぐねしていると、一箇所程度戻しても他のねじれに引っ張られてまたねじれてしまうのではないかということですね。かといって余りに大きなガラガラポンは痛みも大きいしなぁ。



7 Dec 2011

国の破綻に際してどのような民主主義を描くべきか

AGORAの「続「財政破綻させるべき」論-国家のDESと合理的金権政治 --- 伊東良平」は思考実験として非常に面白いので、そこから2点必要な準備を考えました。

1点目は資金繰的な観点ですが、日本政府が3-5%の元本減免やリスケを行った場合、いわゆる再建会社が社債マーケットにアクセスするには再建計画達成などの正常化を示すことが必要だと捉えられることから考えると、国債再発行まで時間がかかる間のファイナンスをどうつなぐかという問題が起こりえるということです。その場合は再建期間を見定めて、もっとカット率を高くするないし繰延期間を長くしてその分を次のファイナンスまでの間を持たす+DIPファイナンスを用意しておく(IMFで対応可能な規模をもはや超えているとは思いますが)のが現実的だとは思います。

次のファイナンスまでが長すぎると二次破綻のリスクもありかつ財政正常化までは円安・金利高というマーケットからの反応が想定され実体経済への影響も深刻になりますが、一方であまりに短期間のハードランディングだと日本政府の債務残高を減らす一方で金融機関のバランスシートひいては金融システムが持たずそちらのパスから実体経済の流動性に多大な影響がある、という相克が生まれるのは間違いないので、日本の金融システムの主要プレイヤーを巻き込んだ(=逃げさせない)「ぎりぎりの落とし所」のすり合わせを極めて短期間に行えるような準備が必要だと思います。

2点目は、日本政府のような民主主義を是とする組織体にDESを行うということは、いわゆる株式会社の債務超過からの再建においてDIP(Debtor In Position)状態としてみなして株主主権を停止することから考えると、日本国民の主権を緊急措置的に停止するならばその際の主権の正統性と正当性の担保の仕方を政治的にきちんと定義しておかないと、権利行使を誰もできずただの政治的カオスに陥るのでないかという点です。

そのような法案を定義することでそれ自体がマーケットのネガティブ反応を生みかねないですが、それはさておき政治の問題として、国債を保有している主体(主には銀行・保険会社など)が首相を決めるというような状況をありとするのか、それでも民主主義に拘り破綻決定時点で国民投票を行なって直接投票すべきなのか、あるいは他のやり方で主権正統性を担保するのか、という問題は考えておくべきことかなと思います。その際には、「再建する日本の50年程度に最も責任を持てる」という観点から、例えば15-30歳のみの投票というような選択肢もあり得べしかと思います。

この2点の準備を「思考実験」でも行っておくことで、X-dayが来たとしても比較的すぐに動けるように思えます。

5 Dec 2011

1年で死亡率1%の死亡率と生命保険

1年で死亡率1%とは具体的にどういう数値かと、標準的な死亡ケースと比べてみました。

2008年の国内男性の死亡数を五歳刻みで100%=全死亡数としたとき(定義は違うけどこの「平均寿命」は77.36歳)に、28歳以降に1年で1%の死亡率となるケースを独立事象としてその死亡率を加味したところ、90歳前後までいくとほぼ差がなくなりますが75歳くらいまでは標準より10数パーセンテージポイントは死ぬ確率が高まるようです。生命保険が30年掛け捨てで掛金と受取額の比率が10倍前後ならば、期待値的にはプラスになりますね。

縦軸:累積割合、横軸:年齢

2 Dec 2011

規制改革の経済分析―電力自由化のケース・スタディ―(編著:八田達夫、田中誠)

独立行政法人経済産業研究所(RIETI)における「電力自由化研究プロジェクト」の研究成果を取りまとめた本書ですが、非常に刺激的な内容になっております。論文集なので部分的に読んでも参考になりますが、特に面白く最近の電力に関する議論の参考になると感じたのは面白い順番では3章、2章、1章です。

まとめると既に実施された改革(1章、2章)により電力価格にしてそれぞれ1円/kWh前後の効果を得られていますが、さらに大きな効果は域内競争の本格導入(3章)により得られるということで、3日間の最大電力に基づく分析である点と安定供給という観点からの示唆はない分析という点に留意は必要ですが、今後の制度変更の議論の際には是非参考にすべき先行研究だと考えます。


以下は、各章の具体的な内容です。(あまり興味を持てなかった4章以降については割愛します、興味が有る方はご一読ください)

3章:電力市場における市場支配力のシミュレーション分析
 北海道と沖縄を除いた8発電者各社が供給量を定めるクルーノー競争を行い発電電力価格への影響力を持つ一方で送電料金は所与で送電価格支配力をもたず地域間の裁定機会もなしという想定で、各地域内の電力会社を分割して競争を導入した場合の消費者料金単価シミュレーションを行なっています。

 分析結果としては、ベースケースでは東西での単価差が6.43円/kWhにもなり、50Hz/60Hzの切り替えボトルネックとなる東京と中部の東西連系線は送電量はフル送電になります。まず東西連系線の容量を1200MWから2倍、3倍と高めていくと東側(東北・東京)の値段は下がり、西側(中部のみ)の値段が上がり、7200MW(現状の6倍)まで高めることで、他の西地域との価格差は2円/kWh超残りますが3地域(東北、東京、中部)の価格差は解消されます。

 また、東西連系線増設ではなく東電(文中ではG社となっていますが数字や地理的に自明です)を2分割~4分割として管内に価格競争をもたらすと1分割のときは19.23円/kWhだった価格が、2分割:14.45円/kWh、3分割:12.79円/kWh、4分割:12.26円/kWhと分割数が増えることで低下し(マークアップ率は68.7%から39.3%へ低下)、4分割では従来と逆転して東から西へ電力が流れるまでになります。

 さらに、東電を6分割(!)、他社を2分割した非常にアグレッシブなシナリオ分析では、価格は10.61円/kWhまで減少しており、完全競争想定時の7.3-7.5円のレンジには及ばないものの、非常に安価な電力供給がなされるようになります。


2章:送電料金改革の効果分析―パンケーキ方式から郵便切手方式へ―
 送電料金をパンケーキ方式(バーチャルに託送時の通過地域が重なるごとに課金を重ねる)から郵便切手方式(需要家立地に応じて発電者の場所を問わず全国一律に課金する)へ切り替えたことにより、完全競争下の前提で各地域における競争圧力が変化することを想定した全国的な電力の潮流図(連系線の送電量を含む)と生産者・消費者余剰等を分析しています。

 分析結果としては、パンケーキ方式からの変更により西から東への潮流が起きるものの、東京の揚水発電容量の電力供給寄与率を一定のレンジ(50%)に置いた場合には東西の連系線がパンクするほどの送電量にはならない(ただし、40%にした場合にはフル送電になりますが)ということが分かります。

 また、東京の揚水発電の想定をどちらのレンジにおいても、パンケーキ方式よりも郵便切手方式の方が東京の消費者価格は1円/kWh前後低くなるという結果が導き出されます。


1章:電力自由化はいかなる効果を持ったか―1990年代から現在までの定量的政策評価―
 95年の発電自由化、99年の小売部分自由化の効果を、実際の財務諸表数値をベースにして制度変更を表現するダミー変数を含めた回帰分析で推測しています。

 分析結果としては、98年度の供給費用を基準とした時に03年度時点では供給費用は16%(3.3円/kWh)低減しておりそのうち37%(1.3円/kWh)が制度変更の影響で、残りの63%(2.1円/kWh)の外的要因の変化のうち長期金利変化が40%、需要増加率変化が16%、燃料費変化が7%とまとめております。制度変更の影響は確かにあったが、実際には長期金利低下の影響が単独では最も大きかったのは若干皮肉ですね。

 さらに同じような部分自由化が他の産業にも同様の影響を与え得るかということでガス産業の自由化に当てはめて試算しており、ガス事業では電力とは異なって家庭用料金への価格変化は起こらずもっぱら産業用価格の変化に結びついており、さらに社会全体の総余剰は減少したと結論づけて、部分自由化への政策提言として1)経営情報の公開促進と2)経済厚生の常態的な監視と勧告制度の創設を提言しています。



26 Nov 2011

The era of state capitalism/「機構資本主義」の時代

日経新聞の「キコウ資本主義」の記事(以下に引用)を読みましたが、PublicとPrivateを安易に分ける古い二分論にまだ依拠しているように思えます。世界各国はもっと柔軟に国民経済の向上へ向けて動いておりますし(参考:Financial Times site on state capitalism)、なによりそもそもフィクションとしての「民主主義たる国民国家」自体が、本質的には国民のために存在するはずですので、安易な原理主義に陥ることなくその時代と次代に生きる「人間」にとってよりその都度妥当な運用を模索し続けることが、各世代のリーダー達に求められる姿勢だと思います。

以下引用
「キコウ資本主義」の時代…日経新聞11月22日15面より
編集委員 西條都夫
官民ファンド、産業革新機構の朝倉陽保専務によると、米アップルが10月に発売した「アイフォーン4S」の最大の特徴はディスプレーだそうだ。液晶のドット密度が2割ほど増え、画面が見やすくなった。「現物を手に取ると、従来機種との差は歴然」という。
朝倉氏がスマホに詳しいのは、個人的興味だけではない。産業革新機構の幹部として、巨額を投じる液晶市場の動向に無関心でいられないのだ。気がつけば、日本の企業社会で「キコウ」の存在感が大きく膨らんでいる。
一つはこの産業革新機構。資本金こそ民間企業も拠出し、官民共同出資の体裁を整えたが、約1兆円ある投融資枠の9割がたは政府保証枠を使って借り入れる事実上の政府ファンドだ。近々政府保証枠の1兆円上積みが予定され、さらにパワーアップする。
そのなかの目玉案件が機構が2千億円を出資し、東芝など3社と共同で設立する液晶会社のジャパンディスプレイ。これが20年前なら「日本が官民一体で不公正競争を始めた」と通商摩擦のやり玉にあがったはずだが、今は問題視する空気さえない。それだけ日本勢の競争力が衰え、注目度が低下した裏返しであるといえる。
もう一つのポイントは官製ファンドなかりせば、再編が起きたかどうか大いにおぼつかないことだ。朝倉専務は「交渉は曲折を経たが、最後はまとまった。機構の出資する2千億円は長期のリスクマネー。今の日本にこうした資金の出し手は見あたらない」という。
公的なカネに頼らなければ再編もできないとは情けない話だが、それが業界の実態だろう。新会社の成功のハードルは高いものの、各社が個別バラバラに細々と事業を続けるよりはまだ展望が開けるかもしれない。
革新機構に続く2番目の注目「キコウ」は、東京電力を支援する原子力損害賠償支援機構だ。東電というブライドの塊のような会社に乗り込み、リストラの進捗や経営のあれこれに口を挟む。介入を嫌う東電側とは緊張が続いているが、最大のヤマ場は来年春。
東電が3月期決算で事故を起こした福島第一原発の廃炉費用を計上することになれば、自己資本が大きく痛み、機構による資本注入が不可避になる。「民間会社としてやっていく」と東電首脳は強調するが、それがかなうか、機構傘下の国有会社になるかせめぎ合いが続くだろう。
日本航空(JAL)の再建を手掛ける企業再生支援機構を含めて、一連の「キコウ」の存在感拡大は、企業の側のふがいなさ、自力で局面を打開できない閉塞と裏表の関係にある。
かつて不良債権を民間だけの手で処理できず、産業再生機構が登場したのと同じ構図だ。だが、いつまでも機構頼み、公的資金頼みでいいわけがない。企業が活力を取り戻し、「キコウ資本主義」に決別するのはいつの日だろうか。

23 Nov 2011

事業戦略と価値創造の関係/財務危機の基本構造(McKinsey Quarterlyより)

事業戦略と価値創造の関係がMcKinsey Quarterlyに端的にわかりやすくまとまっていたので備忘録的に翻訳しておきます。トップラインの成長(すなわち、市場を創造かある市場のシェアを拡大するということ)、あるいは投下資本に対するリターン率の向上を生じるのが、真によい戦略であり(逆に言えばそれらが戦略の目的変数)、真の意味での競争優位という捉え方はシンプルで参考になります。

引用)
The guiding principle of value creation is that companies create value by using capital they raise from investors to generate future cash flows at rates of return exceeding the cost of capital (the rate investors require as payment).The faster companies can increase their revenues and deploy more capital at attractive rates of return, the more value they create. The combination of growth and return on invested capital (ROIC) relative to its cost is what drives value. Companies can sustain strong growth and high returns on invested capital only if they have a well-defined competitive advantage. This is how competitive advantage, the core concept of business strategy, links to the guiding principle of value creation.
(意訳:会社が、投資家から調達した資本を使って、彼らが要求するところの資本費用を上回る将来キャッシュフローを生み出すことが価値創造の基本原則です。会社がより早く収益を増やし、より魅力的なリターン水準で資本投下できるほど、より多くの価値が創造されるため、成長(率)と資本コストに対する投下資本収益(ROIC)の組み合わせが価値を増やすドライバーとなります。会社が力強い成長と高い投下資本収益を維持できるのは、その会社がはっきりとした競争優位を持つときのみであり、こうやって事業戦略の中核コンセプトである競争優位は価値創造の基本原則と繋がります。)

あとは、財務危機の基本構造についての説明について、足の早い資金で(実は)流動性が低い資産に投資してしまったALM的な失敗としてこれまた参考になります。
引用)
In the past 30 years, the world has seen at least six financial crises that arose largely because companies and banks were financing illiquid assets with short-term debt...Equities are highly liquid because they trade on organized exchanges with many buyers and sellers for a relatively small number of securities. In contrast, there are many more debt securities than equities because there are often multiple debt instruments for each company and even more derivatives, many of which are not standardized. The result is a proliferation of small, illiquid credit markets.
(意訳:過去30年間において世界的に起こった少なくとも6回の財務危機は、主には企業や銀行が流動性の低い資産のファイナンスに短期資金を充てたことによるものでした・・・株式はきちんとした取引所で相対的に少数の証券に対して多くの買い手と売り手の間で取引がなされるため、流動性が高くなります。対照的に、通常はそれぞれの会社ごとに複数の債券があってさらに多くのデリバティブがありまたそれらの多くは標準化されていないため、株式以上に債務証券は数多くあることになり、その結果として小規模で流動性の低い債務市場が拡散することになります。)

Source: Why value value?

11 Nov 2011

国債・非常事態宣言 「3年以内の暴落」へのカウント(著:松田千恵子)

キャピタルマーケットの銀行・格付け機関といった主要プレイヤーの立場からJGB(日本国債)見てきた方によって書かれた、非常に分かりやすい入門書です。ニュース等でちゃんと日本国債関連の議論に付いて行っている人にとっては特に新しいものはないと思いますが、家計金融資産残高を公債残高を超える日は遠くない(この本の試算では2016年)、銀行が保有国債のデュレーションを短期化している、各種経済指標を保守的に見たシナリオ下では公債残高は増え続ける、デフレは財・工業製品を中心とした影響でありサービス価格は依然として高止まりしている、といった点を数字でわかりやすく表示しているのは参考になりました。

ただ、他の方も書いておりますが、タイトルも副題も内容とは乖離していてマーケティング上の都合で付けられたことが推測されるのが残念です。非常事態宣言でも3年以内の暴落についても何も記載はありません。

11/14追記)
結局のところ、JGBをじゃんじゃん発行しても消化できる市場があったがそれが徐々に厳しくなっていることを説明しているだけであって、本格的にタイトになったらどのようなことが起こっていくか、といったシナリオについては殆ど記載がないのが残念です。

しかしながら、何がどの順番で起こるかについてはこれまで専門家のいろいろな主張を見ましたが意見が割れているようですし、これだけグローバルな金融市場が成立した中での先進国の内国債をトリガーとしたデフォルト・デノミは経験がないので(つまりこれだけ金融資産を溜め込んで国債消化余力を持った国は珍しい)、正直なところ起こってみないと分からないというのが現状なのでしょう。

なお、より本格的に学ぶには以下の二冊がオススメです。
国家は破綻する――金融危機の800年
国家は破綻する――金融危機の800年

日本のソブリンリスク―国債デフォルトリスクと投資戦略
日本のソブリンリスク―国債デフォルトリスクと投資戦略

9 Nov 2011

ゾンビ企業を作り出すインセンティブ構造

日本では中小企業の退出が比較的少ないのについて、精神論的な話ではなく、事業的には負けており退出すべきなのになぜキャッシュが回って生き延びている企業を取り巻くステークホルダーのインセンティブ構造の仮設メモを残しておきます。これらをどう検証していくかは別途考えないといけないですね。経営者・株主・金融機関・従業員に加えて政治家(Regulator)を加えておきました。

経営者

  • 金銭的:金融機関に要求されて個人保証をしたり自宅を担保に入れていたりして倒産や事業譲渡などのトリガーがそのまま生活の破綻に繋がるのを避けたい
  • 金銭的:同時にマジョリティ株主であることが多く、資産が紙くずになるのを避けるために実務上の粉飾などを指示することもできる(強いリーダーシップを効かせられることの裏返しなので、必ずしも悪い状態ではないですが)
  • 精神的:「社長」としてのプライドを保ちたい、いい顔をしていたいので他社に買われて自分の居場所がなくなることを避けたい(僕が見てきた限り、大企業にも多い)
  • 制度的:監査役はカイシャとの利害関係者であり、チェック&バランスを効かせるインセンティブはない(OBあるいは顧問弁護士・税理士等でお金をもらっている立場など)

株主

  • プライド:一線を引いていても、創業者であると「自分の会社」という思いが強くて業績があまりに悪くなると介入して生き延びる方策を模索する(これは当たり前の行動かな)
  • 人間関係:経営陣や他の株主との人間関係の維持を重視して損切りをしない(家族や友人などの場合)

市場・制度

  • 株式の買い手を探しても二次市場が未成熟で仲介機関やリスクの取り手が少なく、また評価額が付かない
  • うまく売却価額がついても非上場株の譲渡税が20%と高くて、売るメリットが削減されるので売りたくならない

金融機関

  • 担当者:会計/財務についての専門家が少なく、粉飾的な怪しい数値にそもそも気づかない
  • 担当者:減点主義の評価方法の場合では、数年間の担当の間に問題を起こしてほしくないので少々数字が怪しくてもつなぎの資金を通してしまいたくなる
  • 組織:内部の貸出区分として正常先扱いしており、追加引当をする余裕が業績・自己資本ルール的にない
  • 組織:事実上のDIP状態にあっても、メインとしてガバナンスを効かせるだけの余剰人員やスキルがない

従業員

  • 個人:カイシャを守るために「阿吽の呼吸」で言われずとも数字を作ってしまう(カネボウとかこのケースですね
  • 労働市場:売れるスキルやいざというときの社外ネットワークを持っていない、地方で他の雇用が少ないなどで事実上転職できない場合は、給料カットや粉飾でも命令を聞かざるを得ない
  • 評価制度:実態がなくても経営陣が中身を見ずに作られた数字で評価されてしまう(売上だけで評価される営業、最終的に利益を作ることで評価される経理、など)


政治家(regulator)

  • 選挙においてお世話になっている経緯があると、中小事業者にマイナスになるような政策は通しにくい
  • さらに支援者が中小企業の社長であることが多いため、彼らを保護するための政策(例、リーマン・ショック後の金利支払の減免、手を変え品を変えた公共事業復活)を導入させて「実績」をアピールしたい


7 Nov 2011

The Economist: Should Greece leave the euro zone and return to the drachma?

Question: Should Greece leave the euro zone and return to the drachma?

My Answer: Yes. (as of Nov 11 0:30 am, 49% YES v.s. 51% NO)

Whether Greece leave the euro zone or not, it's likely that Greece would end up defaulting its debt due to the poor management of its government. And if Greece is kept in the euro zone, this kind of turmoil could happen again due to the same currency over totally different economic areas.

Instead, leaving the euro zone would give Greece the devalued drachma after all, which could make its tourism industry, which I assume as one of the few competitive industries there, attractive to foreign visitors; at least its default could never affect the euro more than this time. Thus I believe Greece should leave it.

Another way to see it from FT, but I think his scenario seems less likely and backed up by no actual figures.
Greek default within the euro is the only real option

4 Nov 2011

同和と銀行 三菱東京UFJ“汚れ役”の黒い回顧録(著:森 功)

帯にあるように「同和団体のドン」小西邦彦と「汚れ役」に徹した幹部行員(三和銀行)の関係から眺めるバブルの一面です。

銀行からノンバンクを経由した不動産投資、それを利用してのし上がる、同時に銀行に利用されたケースは大小たくさんあるのでしょうが、このケースは極めて典型的でもありそこに切り込んだこの本はジャーナリズムとして非常に優れたものだと思います。

全然違う側面から同和団体を取り上げた「放送禁止歌」と合わせて読んで感じたのは、差別自体を直接に声高に悪用した人がいた初期から時間が経つと、むしろそのことにより何となくアンタッチャブルになるこの国の「空気」を周りがうまく利用し始める(思考放棄なり落とし所なりのロジックとしてXXXが言うのだから・・・というような)という構造が、「ワシはそんなに悪やろうか。警察の調書を見ると、銀行の連中はみなワシに脅されて、仕方のう取引をした、言うとるんや」という弱音に端的に現れている気がしてなりません。




22 Oct 2011

生保再建(著:千代田生命更生管財人団)

千代田生命更生管財人団
東洋経済新報社
発売日:2002-04

2000年に経営破綻した千代田生命の管財人となった弁護士のチームがその話を換骨奪胎して共有可能な小説に仕立て上げた本ですが、小説というよりは法律家管財人から見たケース・スタディとして勉強になりました。

詳細な技術論・法律論の記載はありませんが、AIG(作中ではGIC)との交渉を中心とした、管財人チームのチームアップとセルサイドDDプロセスを回すにおける各種プロファーム(リーガル、FA等)の使い方と勘所は参考になります。一方、事業面については(事業)管財人としてAIGから派遣されてきたチームに任せきりだったようでそちらの施策や進め方については殆ど記述がなく、ターンアラウンド・ケースとしては片手落ちなのが残念なところなので、星を一つ落とさせて頂きます。




18 Oct 2011

チッソ支援の政策学―政府金融支援措置の軌跡(著:永松 俊雄)

公害という外部不経済の問題に対して、チッソという具体的な事例でどのように国・県・当事者企業・被害者というアクターが関わりあって政策を形成していったか(国と県との間のやり取りが本書のメインではありますが)を理解するのに非常に役に立つ良書です。

水俣病という問題が発生後しばらくして原因企業として特定されたチッソが経営不振になり、各種議論の上県債というルートで公的資金を注入し、その後患者支援が安定化して患者補償金よりも積み上がった公的債務償還金が上回るようになり、金融支援(低利借換え、利払い繰延等)を実施するに至る、といった流れを具体的な数値と制度・スキームの解説と共に概観することができます。

筆者の永松先生は一般化、理論化に対しての心残りを結語にも書かれていますが、一般化・抽象化してかえってわかりにくくするよりも、非常に優れた類まれなるケース・スタディとして、次世代の政策策定・決定者の研修等に使われて然るべきクオリティだと思います。余談ですが、法律や政策系の大学・大学院で、アクターごとにチームを作って議論をさせると面白いのではないでしょうか。

そのうち、今回の東日本大震災に伴う東電への支援措置との比較をまとめておこうと思います。



11 Oct 2011

Think Different

このキャンペーンについてエントリするのは多分3回目ですが、スティーブ・ジョブズがナレーションをしたバージョンを知りました。読み方として、最後の"do"を強調しているのがとても印象的です。



実際に放映されたバージョンはこちらのようです。


"Here's to the crazy ones. The misfits. The rebels. The troublemakers. The round pegs in the square holes. The ones who see things differently. They're not fond of rules, and they have no respect for the status quo. You can quote them, disagree with them, glorify and vilify them. About the only thing you can't do is ignore them because they change things. They push the human race forward. And while some may see them as crazy, we see genius. Because the people who are crazy enough to think they can change the world, are the ones who do."

17 Sept 2011

高齢化率と国民負担率:高村薫「新リア王」に触発されて

高齢化白書の最新版がニュースになっていて、高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)が2010年に23.1%になったようです。

以前とある勉強会資料として、横軸に上記の高齢化率を、縦軸に国民所得に対する負担率(税金・社会保障を含み財政赤字を含まず)を取って、比較対象の主要先進国の1980年~2007年のデータを散布図上にプロットしたところ、日本が急速な高齢化の中で国民負担率を上げられていないことが明確になりました。ちなみに、ドイツも似たような人口の動きをしていますが、負担率は50%前後と日本より10パーセンテージポイント以上高くなっています。
高齢化率(横軸)と国民負担率(縦軸)

高齢化の進展によってどうしても負担が増えるのはやむを得ないと思うので、財政的な破綻を避けるためには、人口構成を維持する(出生率を回復させたフランス・スウェーデンや、移民を受け入れるアメリカ・イギリスなど)あるいは、高齢化の進行に応じて負担率を高めていく(ただし、民度が低い場合のデモクラシー的には困難なプロセス)のシンプルな二択しかないと思っていますが、後期高齢者医療制度の顛末を見ても分かるように、この問題は容易に政治化(「お年寄りに負担を押し付けるのか」という感情的・扇情的な言説)されやすいのが現状です。

これを挙げて民主主義の限界と言う人もいるかもしれませんが、民主主義制度下において年金や社会保障を世代間負担の立て付けにしていることが問題、というか個人的には大きな誤りであって、決してデモクラシーそれ自体の問題だとは僕は思いません。が、デモクラシーの枠組みでの解決が困難になっているのは現実であるので、破綻という形のハードランディング以外の現実の着地の仕方を模索するのが、政治の役割でしょう。

高村薫「新リア王」を読みきった影響で、今日はすこし政治的な人間になっているようです。
新リア王 上新リア王 下
これらは「晴子情歌」「太陽を曳く馬」をつなぐ大事なピースであり、あくまで「父と子」の物語でした。昭和という時代を生きた「母と子」「父と子」そして平成に入った「子とその子」という連綿と繋がる物語であることをようやく理解し、改めて上記二作品も読み直さなければ、と感じました。

15 Sept 2011

htc evo WiMAX通信速度 主要都市別

htc evoのWiMAXは、「平均して下りで5,000-6,000kbps、上りで1,500-2,000kbps」で、3G回線の倍前後のスピードが出ていたようです。首都圏・地方主要都市での3G回線スピードは、上り/下りともにほとんどのスポットで auが首位というのは驚きました。

スマートフォン3G回線の通信速度、全国主要都市のほとんどで au が首位
記事はコチラ

29 Aug 2011

Die Politik ist die Kunst des Moglichen (Otto Von Bismarck)

この英訳が"Politics is the art of the possible."で、そこから日本語の「政治とは可能性の技術」という言葉になっているのですかね。言うなれば、政治とは、現実的に可能な選択肢の組み合わせの中で成立させる、一回こっきりの人間の技(わざ)である、とでも。

30 Jun 2011

半年レビュー

今年の目標のレビューをしておきます。総合すると60点くらいでしょうか。。。
○:できたこと、△:ややできたこと、×:全くできなかったこと

Work; to demonstrate working style as a "manager" and learn finance and legal basics
 ○ 部下を持って仕事を回し切る→任せるところと指示するところ及びその伝え方の見極め
 ○ 証券アナリスト一次の勉強開始
 × ビジネス実務法務2級の勉強未着手→12月の試験を目指す

Private; to invest 20% of waking hours (i.e. 3 hours) for self development such as
- English / preparation for studying abroad
 △ 初TOEFLとりあえずの99点(30/26/19/24)
 × GMAT準備未着手

- Development of Android App
 × ガイド本を購入して、SDKをインストール後全く手付かず

- Macro/microeconomics books and research papers
 ○ 日本財政破綻可能性について整理して勉強会でプレゼン
 ○ 証券アナリスト一次の勉強でカバー
→ 下期の目標は Planning on how to address rare disease issues に変更

- Movies, plays, novels which expand my perspective on life
 ○ 映画、劇は合わせて10本程度だから月2本弱とまあまあ。
 △ 小説はコレという新しい作家を開拓できず、強いて言えばアガサ・クリスティを再開拓。

27 Jun 2011

htc EVO購入&電池対策

htc EVOを購入しました。これでMNPは2回目でしたが、DocomoはAUより時間かかりました。

先週月曜日から無料レンタルで試していたhtc EVOですがWi-MAX等の接続環境に問題なかったので金曜日に購入してしまいました。これでiPad2 Wi-Fiが外でもネット接続できるので、モバイル環境からDropBoxにアクセスしていろんな資料を手ぶらで出したり、その場でパッとサイトを探してシェアしたりできるようになりました。

あと、分かっていた電池の持ちが悪い点に対し、色々対策を実施しました。
・ディスプレイ輝度は基本最低にしておいて、必要に応じて明るくする(ヴィジェット活用)
・WiMAXは確かに早いが、移動中は基地局探して電力食うのでこれも電車等ではOFF(ヴィジェット活用)
・モバイル環境で充電できたほうが良いので、モバイルバッテリーを色々検討してSONYのものを購入
��出力・容量が十分なのに他社より若干安く、あとACアダプタを接続して持ち運びやすい点を考慮)
・(6/30追記)バッテリー本体で手のひらサイズ、ACアダプタを接続してちょうど手の大きさと小さいのはGood
・(6/30追記)30%から3時間弱で100%まで充電して、モバイルバッテリーの消費は目盛り半分程度
SONY スマートフォン用USB出力(2口)機能付 ポータブル電源(高容量リチウムイオン) CP-A2LS

このあたりのサイトも参考にしました。
TechCrunch
digital creators



国家は破綻する 金融危機の800年 / This Time Is Different (著:Carmen M.Reinhart, Kenneth S.Rogoff)

カーメン・M ラインハート,ケネス・S ロゴフ
日経BP社
発売日:2011-03-03

国家の財政破綻に関して、「こういう特殊要因があるから今回は大丈夫だ(This Time Is Different; 原題)」という言説を撒き散らす学者とメディアに対して、冷静に、過去のデータの積み上げから、様々な条件下で過去国家は破綻(デフォルト)を起こし、それによって経済的にどのような影響を受けたか(主にインフレ率と利子率に関して)を、世界史的な時間軸と地域軸で俯瞰できる大著です。

一方で、あくまでマクロな統計数値のデータベースとして焦点を当てているため、個別ケースの深掘りや破綻時の具体的な国民経済への影響(歳出カット、増税など)については別のリサーチを必要とします。

それでも、繰り返しになりますが、これだけの幅広い時間軸・地域軸のデータを集めただけでも非常に価値があるものですし、国内債務のデフォルトは決して起こらない訳ではないということが日本財政は破綻しないという論者への批判の基盤となるとともに、対GDP比という観点でここまで巨大な政府債務(200%超)を抱える国家自体が特異である(通常はここまで国内でファイナンスできる前に破綻する)という点でも、この本が現在の日本財政を論じる際に非常に役に立つものであると言えると思います。

なお、こういう本は、原著の方がやはり分かりやすいです。私はAmazon.comにてKindleで買いました。ただ、Kindleだと添付のデータテーブルに飛んだり戻ったりが若干やりにくいのが難点ですね。その用途では、本に付箋を貼っておくほうが楽です。
This Time Is Different: Eight Centuries of Financial Folly

21 Jun 2011

AU htc EVO WiMAX ISW11HT お試しレンタル レビュー

二年前に買ったGoogle携帯の買い替え時期になってきたので、検討していたWi-MAXモバイルルーターと携帯電話(スマートフォン)が同じデバイスで使えるAUのAU htc EVO WiMAX ISW11HTを一週間レンタルしました。AU htc EVO WiMAX ISW11HT

■初日の備忘録
・オフィスは10階以上の高層階だが、WiMAXが繋がりiPad2がWi-Fiで問題なく使える
・秋葉原~大井町までの電車の中では、たまに切れるが概ねWiMAXは繋がり速度はサクサク感あり
・大井町駅前を歩いてみたがこれまた概ね繋がりこれまた問題なし
・自宅はちょっと目の前のマンションや壁に囲まれた入り組んだ場所にあるせいかWiMAXが入らないが、こちらはどちらにせよFTTHを無線LAN設定しているのでまあしょうがない
・懸念していた電池の持ちはやはり厳しく、レンタル用で何度も使っているような電池なのだろうが、液晶オフのWi-Fiテザリングのみの状態でも4時間程度(既存携帯がGmailを取りに行くくらいで殆どWi-Fiは使っていなかったのに)でフル充電から残り2割になり、そこからWiMAXでネットをやっていると20分くらいで電池は残り1割になってしまった
・そこから2時間でほぼフル充電に戻る(WiMAX:on、テザリング:off)
・フルに使うと2時間というレビュー記事もあり(Yahoo!)実際にはそうなるんだろうという印象を受ける
■二日目以降の備忘録(6/24追記)
・御茶ノ水で使ったが駅周辺は問題なし、ただ中央大学記念講堂内ではWiMAX接続できず
・大井町でもちょっと住宅街の中の方に入ったり建物の中だとWiMAXの速度は落ちる
・着信やメール受信がない状態で放置していても減りは大きく、寝ている間だけで電池が20%位は減る

都心部のカフェとかならWiMAX活用はできそうですが、電源がないところで長時間使う場合電池の持ちをどうやってカバーするかが鍵でしょうか。普段はWiMAXと3G回線を使いわけながら、WiMAX+デザリングのために二つ目の電池を充電しておくとか充電器を常に持ち歩くようにするとか工夫がいりそうですね。それでも今のところこれは買いです。

公式スペックはこちら
価格.comのページはこちら

6 Jun 2011

TOEFL初受験

TOEFLを初受験してきました。会場は横浜国立大学で、初めて行きましたが落ち着いた感じの大学でした。(横浜駅西口から14番系統のバスで20分程度で正門前)身分証明書が不足して家族に横浜までパスポートを運んでもらうというハプニングもありつつ、なんとか無事に終えました。

予想点数は、85/120というところでしょうか(Reading:25/30 Listening:25/30 Speaking:15/30 Writing: 20/30)。最近英語をしゃべってなかったので言葉がうまくつながらなかったのと、最後のWritingの二つ目で集中力が切れたのを感じましたが、定期的に英語文献を読んだり聞いていたお陰でそこまで英語力自体は落ちておらず、単語量増やす努力を再開して、あとはSpeaking/Writingの試験対策(時間を想定してまとめる工夫)をすれば点数は上がるな、と感じました。二週間後の結果が楽しみです。

現在使用している参考書:TOEFLテスト基本ボキャブラリー2000語

6/9追記
早くもテスト結果が返ってきました。総合99点で、全体的に予想より上振れしました。
SpeakingとWritingを対策すれば110点台もそんなに遠くない、という印象です。

Reading:30(予想+5)
Listening:26(予想+1)
Speaking:19(予想+4)
Writing:24(予想+4)
Total:99(予想+14)

2 Jun 2011

ドイツが2022年までに国内全ての原子力発電所を停止

どこのメディアも表立って書かないでしょうが、日本に原子力発電所を持ちたい人達の一部には核兵器開発の可能性を消したくない、というのがあるのだと思います。地政学的に、核大国のアメリカ・中国・ロシアに囲まれているという状況を鑑みてなんだと思いますし、そういう思考プロセス自体は理解できます(同意できるかは別問題)。

ドイツの「国内全ての原子力発電所を停止する」決断は、安全保障のリスクもヨーロッパという枠組みでやっていく、そのためにイギリス・フランスに大して経済的に優位に立ち続けるという意思表明のように思えます。核大国を隣にしながらも核兵器を持てずさらに原子力を捨てるという判断、これこそ政治、ができる彼の国と、糞の役にも立たない不信任案否決でちーちーぱっぱやっている此の国の差は、一体どこから来るのでしょうか。

元ネタのロイター記事はコチラ。(以下保存用にコピペ)

 [30日 ロイター] ドイツ連立与党は30日、2022年までに国内全ての原子力発電所を停止する方針を表明した。福島第一原発の事故を受け、メルケル首相が政策の方向転換を迫られたかたちとなる。
 原子力エネルギーに関しては、発電所からの気候温暖化ガスの放出量を削減する効果的な手段との見方があるが、福島第一原発の事故で、安全性に対する懸念が再燃している。
 現在、30カ国で440基超の原発が稼働しており、総発電能力は37万7000メガワットエレクトリック(MWe)。世界の電力の約14%を供給している。
 以下は、欧州で建設中または計画中の原発に関する詳細。
 <英国>
 欧州の主要公益会社が、イングランドとウェールズ地方に新たな原発を建設するための土地を購入。2018年までに最初の原発を建設する見通し。2011年1月時点で英国には19基の原発があり、純発電能力は1万0137MWe。
 <チェコ共和国>
 国営電力会社CEZ(CEZPsp.PR: 株価, 企業情報, レポート)は、電力市場が不透明なため、2010年にテメリン原発に原子炉2基を増設するプロジェクトの入札を延期。入札は現在、2013年に予定されている。チェコには6基の原発があり、純発電能力は3722MWe。
 <フィンランド>
 フィンランドには4基の原子炉があり、純発電能力は2716MWe。フィンランド議会は、2010年7月に新たな原子炉2基を建設する案を可決した。すでに5基目の原子炉が建設中で、2013年に稼働する見通し。
 <フランス>
 フラマンビルで1600メガワット規模の原子炉1基を建設中。計画より2年遅れとなる2014年に稼働を開始する見通し。フランスは58基の原発を有しており、純発電能力は6万3130MWe。
 <ドイツ> 
 政府は昨年、国内17基の原発の稼働延長を決めたが、東日本大震災を受け、脱原発に方針を転換。稼働停止中の8基を閉鎖し、残りの原発も2022年までに全面停止することを決めた。6基は2021年までに停止する。2011年1月時点の純発電能力は2万0490MWe。
 <イタリア>
 主要8カ国(G8)で唯一、原発が稼働していない。チェルノブイリの原発事故を受けて、1987年に原発の閉鎖を決めた。原発の新設凍結を盛り込んだ法案が5月24日に可決された。ベルルスコーニ首相は原発推進派だったが、東日本大震災を受けて国民の間で不安が広がったため、新設計画の凍結を決めた。
  
 <オランダ>  
 オランダの電力大手デルタは、仏EDF(EDF.PA: 株価, 企業情報, レポート)と共同で原発1基を建設する計画。2019年までに稼働する可能性。国内の原発は1基。純発電能力は487MWe。
 <ポーランド>
 政府は石炭への依存から脱却するため、原発1─2基の建設を望んでいる。1基目は2022年までに建設したい考え。当初は2020年までの建設を目指していた。
 <ロシア>
 ロシアの国営原子力企業ロスアトムは、世界で建設中の原発62基のうち14基の建設に関わっており、さらなる受注を目指している。同社は、東日本大震災にもかかわらず、原発ルネサンスは続くとの見方を示している。
 ロシア国内の原発は32基。純発電能力は2万2693MWe。
 <スロバキア> 
 エネル(ENEI.MI: 株価, 企業情報, レポート)傘下のスロバキア電力がミハロフツェに原発2基(470メガワット)を建設中。2012年─13年に稼働予定。国内の原発は4基、純発電能力は1792MWe。
 <スウェーデン>
 国内の原発は10基、純発電能力は9303MWe。国内の電力の約5割を供給している。
出所: World Nuclear Association/Reuters/www.euronuclear.org, International Atomic Energy Agency

31 May 2011

プロフェッショナルコンサルティング(著:波頭亮×冨山和彦)

波頭 亮,冨山 和彦
東洋経済新報社
発売日:2011-05-27

マッキンゼーを卒業後もXEEDを設立して戦略コンサルティングというプロフェッションを続けている波頭さんと、BCG、コーポレイトディレクション、産業再生機構、経営共創基盤と多様な立場からコンサルティングを行ってきた二人による、主には若手コンサルタントと戦略コンサルティングを志向する方々向けに読まれるべき対談集です。

普通のセミナーでは聞けないような、リアリティのある経営者の視点からの戦略コンサルティング業界のリアリティが語られるとともに、この業界でキャリアを積もうとしている人間への様々な示唆があり、ある程度経験を積んだところで一歩立ち止まって考えるのには良い本です。ただもちろん、お二人それぞれの考えを理解するには、波頭さんの言う論理的思考の勘所(独立と相関の区別、次元の統一、因果の強さ)や冨山さんのゲゼルシャフトとゲマインシャフト、合理と情理などの相克とアウフヘーベンについての説明は軽く、個別の著書を読む必要があります。

瑣末ですが、直観で動く経営者も因果律の把握は必要、歴史の正史の矛盾を埋める鬼(裏史)による立体的な理解、情理にぶつかった時こそ論理的思考と想像を諦めてはいけない、年功序列を廃止することで終身雇用が守れる、といった議論のくだりが特に面白かったです。

26 May 2011

ドキュメント東京電力企画室(著:田原総一朗)

今では絶版となっているこの本は、1981年時点の「生存の契約」(文藝春秋刊)を元にした文庫ですが、それ以降の大きな変化を生めなかった日本のエネルギー政策の背景が、小説のように読み解ける優れたルポになっています。

第二次大戦時の統制経済・国家管理というトラウマを回避すべくGHQのバックアップすら活用して九社体制を確立し、通商産業省のエネルギー支配を回避するために「ファウスト的契約」と認識しながらあえて原子力推進のイニシアチブを民間主導で取ります。

しかし、この時代までにあった明らかな対国家への距離感・緊張感は、オイルショック後の本格的な石油値上がりにより燃費負担が重くなって、結局は電気料金の認可を握る通商産業省の言う事を聞かざるを得なくなり、融和策を取るようになったところで薄まっていきます。

そこから、日本のエネルギー政策は「なあなあ」になってしまったのではないでしょうか。その後は、数年スパンの思いつきで大旗を振るう官僚を諌めずに、究極のところ現場と雇用を握っている民間は面従腹背で結局言う事を聞くふりをして換骨奪胎することの繰り返しで数十年を過ごしてしまったのではないかと、1981年に書かれたこの本を2011年の現在から読み返すと思えるのです


余談ですが、オイルショック時に実は石油輸入量は減っておらず、実は石油を支配するメジャーショックだった、というエピソードは考えさせられるものでした。見通しや予測ばかりでなく、実際の数字を確認しないで踊らされたよい例だと思います。こちらのグラフからは、中東依存度がオイルショック前後で大きく変化していないことがはっきりと分かります。

23 May 2011

君主論(著:マキャヴェッリ)

マキアヴェリ
講談社
発売日:2004-12-11

「マキャヴェリズム」という言葉のイメージになっている暴力礼賛的な論ではなく、乱世の16世紀において、ローマ帝国を中心とした過去に滅んだ国々と君主をケース・スタディとして、君主を成立させる要件、君主の成立の仕方による違い、君主が統治を行っていく上で必要な要素と必ずしも必要ではない要素を冷静に論じています。つまり、観念論ではなく具体的な行動や制度として君主を議論しています。

そこで論じられているのは手段としての暴力に対する冷静な評価であり、あくまで安定した支配を成立させるためには、という目的論から、軍事や君主の性質、制度論も含めて君主が取るべき行動を、観念論ではなく具体的な行動や制度として議論しており、この示唆は現代の組織統治(特に危機的環境下の)においても極めて参考になります。

マキャヴェッリは冷徹な現実主義者に徹したわけではなく、草稿を書き上げたときは彼は四十半ばだったようですが、まだ見ぬ統一イタリアへの思いを、最終26章にてこの本を献上する先の読み手、将来的かつ希望的なイタリアの君主足りえる者、への呼びかけで終えるといった情熱ものぞかせています。

政治学者であり東京大学法学部学長を務めた佐々木毅が各章ごとに簡単な解説コメントを追加しているのも、理解の補助線になります。その解説で、この君主論はローマ共和制を論じた同じくマキャヴェッリの「リヴィウス論」を参照にすることでより立体的な理解が進むことが分かりました。

11 May 2011

JGB CDS

日本国債のCDSが大震災前の水準にもどりつつあり、3年スパンでみるとじわりと上がっているんですね。

現時点で、5年債CDSが81.22bp(5年債の利率0.43%)、10年債CDSが112.61bp(10年債の利率1.13%)なので、国債を買い手のほとんどはヘッジしておらず、デフォルトを期待したごく一部ヘッジファンド等の買いがスプレッドを引き上げているというような状態でしょう。

ちなみにギリシャ国債のCDSは1000bpを越えている様子。。。(追記:6/3のReuters記事では1380bpでした。)

JGB Yield
JGB 5Y CDS
JGB 10Y CDS



21 Apr 2011

冨山和彦 『福島の三春で「総理の桜を見る会」を』

「桜を見る会」はさておき、「官邸の地下という東京で最も安全な場所から非現実的な指示を出している人間を、意思決定ラインから排除すべき」という点は非常に納得感が高いです。毎日新聞のウェブサイトには掲載されてないようなので、ベタ打ちして引用します。

毎日新聞、2011年4月13日経済観測
福島の三春で「総理の桜を見る会」を
経営共創基盤CEO 冨山和彦

拝啓 官房長官殿
 今回の危機に際し、最もまっとうに機能している閣僚と見込んで、被災当事者として実感していることを何点か申し上げます。
 まず問題点ですが、とにかく決断が遅い。間違いや批判を恐れるあまり、情報収集と検討に時間をかけ過ぎているからです。最前線は、いつも戦闘状態。どんな意思決定をしても間違いは起きます。そのロスよりも、決断が遅れることによるロスの方がはるかに大きい。加えて、この期に及んで保身と点数稼ぎで非現実的な指示を現場におろしてくる人物が政府内にいます。「原発20~30㌔圏内は、屋外退避としつつ、住民の自主避難を促す一方で、経済活動の正常化を図るため民間企業に協力要請」していましたが、これで現場が動けたら奇跡。屋外が危険だから屋内にいろと言っておいて、屋外活動が不可欠な民間経済活動の正常化は無理です。それから意思決定にかかわる人が多すぎます。古今東西、有事は独裁。衆議を尽くすのは平時の構えです。
 次に改善策について。官邸の地下という東京で最も安全な場所から非現実的な指示を出している人間を、意思決定ラインから排除すべきです。彼らには、原発20㌔地点に前線本部を作ってそこに移ってもらったらどうでしょう?それから中止になった首相主催の「桜を見る会」を、今月、福島県の桜の名所、三春で開催していただきたく。福島の人々は震災の被害に加えて風評被害にも苦しんでいます。福島県の安全性、そして今年も美しい桜が咲き誇っていることを全国に、全世界にアピールするチャンスです。桜前線は、どんどん北上していますが、まだ間に合います。今度こそ迅速に、少数の人間で、批判を恐れずご決断いただけると幸甚です。敬具


19 Apr 2011

Amazon Kindle(アマゾン・キンドル)返送方法

もう一ヶ月もたってしまいましたが、ようやっとAmazon Kindleの返送手続きをすませました。郵便局に持っていったら窓口では通ったけれど出国のところで引っかかり戻ってきたやつです。(以前のエントリ

秋葉原のFedex Kinko'sに一旦寄ったところ、Fedex Web上にあるフォームを確認して埋めてほしいと言われたので、Fedexのページからリンクをたどってリチウム電池の発送についてというページに行き、機器に組み込まれている(例:中に電池を入れたデジタルカメラや携帯電話を送る)リチウムイオン電池なので4番を開いて印刷し、PDFにあったステッカーとフォームに電話番号や名前、署名を書いて持って行きました。

説明したところ店員さんがぱっとKindleを知っていてものを理解してもらえたので助かりました。その後、通常のFedexのフォームを埋めて、税関用の書類を別途記入しました。ステッカーは別途店の人がちゃんとしたものを出してきてくれたので印刷は不要でした。現在、個人がアメリカにものを送るのが厳しくなっているようで、アカウントを開いている場合は問題ないようですが、アカウントもなくカード払い(7600円と少し)だったので、免許証を見せて身分確認・記録の必要がありました。とまあいろいろ時間が20分ほど掛かりましたが、とりあえず返送先の住所と身分証明書があれば送り返せました。無事に届くことを祈っております。

なお、クロネコヤマトは何かのブログでメーカーの安全確認書のようなものがいると書いてあったのと、ちょうど通り道になかったので(Fedexはあったので)多分安いんでしょうが試しませんでした。

14 Apr 2011

公共空間のマネタイズ

学校教室、グラウンド、体育館、公民館、区民センタ、寺社、等々、箱物はたくさんあるこの国において、統一的に公共空間を活用し、さらに公共セクターにとっては最低限のマネタイズができる仕組みを作れたら面白いと思います。まずは東京で真面目に考えてみます。(未定稿)

11 Apr 2011

強い者などいない 強くあろうとする者、いるのはそれだけ(日清カップヌードルCM「武蔵登場」編 30秒)

日清カップヌードルは、たまに、本当にいいな、と思えるCMを作ってくれますね。上からの説教臭くなく、アホみたいに正論でもなく、言葉の選び方が非常にうまいと思います。ここのマーケティング担当者って、常に歴代のキャンペーンと比較され続けるから、強く揉まれるんでしょうかね。

強い者などいない
強くあろうとする者、いるのはそれだけ
ひとりひとりが強くあろうとする日
日本が少し、前に進む





9 Apr 2011

桜の盆栽 満開

無事に満開になりました。早速友人を呼んで、桜を愛でながらまったり語りました。花見のどんちゃん騒ぎはさておき、桜を見て友人と集うことは、同じものの美しさと、同時に散るはかなさを共有するという意味で、この時期の季節の過ごし方として大事なんだと思います。だから古来から、「花見」という風習が定着したのではないでしょうか。「花見」だから集まろう、ではなく、親しい人達と同じうつろいを共有したいから「花見」をしよう、という順番だったのではないかと思います。


6 Apr 2011

「ケッパレ東北!みちのくさくら紀行」へのエールとして 弘前公園の桜(2008年)

2008年4月後半に弘前公園を訪れたときの写真をアップしておきます。
桜のピークがGW前なので難しいですが、また落ち着いたら行きたいと思います。

ケッパレ東北!みちのくさくら紀行という地元旅行会社の企画もありますので、どうぞご検討ください。

3 Apr 2011

軟式野球用バット ミズノ「D4(ディーフォー)」の感想(於:富士バッティングセンター)

6/19追記)
ミズノから5/23にリコールが出ていたんですね、一ヶ月気づきませんでした。買った楽天の店舗さんが連絡くれればいいのに。。。とりあえず以下の記事はそのまま残しておきます。リコールのリリースはコチラ

(以下オリジナルの感想)
弾く感触を強化しつつあのビヨンドマックスと同等の飛距離が期待できるというミズノの新製品が出ることを、週刊ベースボールの広告で知って衝動買いした軟式野球用バット「D4(ディーフォー)」を使いたくて、練習が待てず近場のバッティングセンターを探して試し打ちに行ってきました。

近場で調べたところ、何回か行ったことのあるアスレチッタ蒲田(蒲田駅東口徒歩数分のバッティングセンター)よりも近い、富士バッティングセンターを見つけたので、Google mapを頼りに自転車で行き住宅街の真ん中に発見しました。

1回22球@200円、ただし6回1000円のプリペイドカードがあるので、実質1球7-8円と安く、ネットの高さを結構を取れているのでアスレチッタ蒲田よりもフライ、ライナーの軌跡が確かめられる、今回の試打にぴったりのいいバッティングセンターでした。スピードは80キロ~110キロでしたが、110キロ設定は実質120-130キロくらい出ている感じで練習不足で当たらなかったので、90キロ(体感100-110キロ)のところでひたすら打ち込んで来ました。

バットの感想としては、従来の軟式用金属バットよりも音が小さく、一方で芯を食ったときの感触は硬式に近いものがあり(カキーンではないですがガキーンくらい)、あと実際に飛んでいく打球の初速も、いままで使っていた軟式バットよりも速い印象をもちました。ライナーで外野の間を抜くような打球が打ちやすくなりそうです。トップバランスとのことでしたが、極端なトップバランスではないので野球経験者標準的なレベルスイングで振っていて大きな違和感はありませんでした。

引用:MIZUNOのNEWS RELEASEからの貼りつけ
軟式野球用バット「D4(ディーフォー)」

28 Mar 2011

そろそろと 春遠からじ 桜の木

第一園芸本店で1週間前に購入した桜のミニ盆栽(4,200円)の芽がだいぶ出てきました♪

そろそろと 春遠からじ 桜の木

24 Mar 2011

【経済活性化+被災地支援】送迎会等を普段どおりに!

アイセックのときの友人が、Just Givingのサイトにて、ピースウィンズ・ジャパンで有名な大西さんが国内災害向けに運営されているCIVIC FORCEへの寄付金チャレンジ(10万円)を始めました。

【経済活性化+被災地支援】送迎会等を普段どおりに!というタイトルで、経済停滞が懸念される中、3-4月は歓送迎会の季節なので極力通常通りに皆で集まってわいわい飲み食いして、その分の金額くらいを寄付しようという活動です。ご賛同頂ける方はぜひ寄付をお願いします。

とりあえず飲んだりしたらちょこちょこ振りこんでいこうと思います。

18 Mar 2011

We will rebuild Japan again with "Kizuna"

Forwarded from several friends of mine;


Original kizuna311 activity initiated by Ken Watanabe.
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一人一票

「一人一票」は実は公職選挙法で定まっており、憲法では普通選挙としか定められていないのですね。普通選挙を導入しなければいけない!と言っていた時代には、当たり前だけれど人口構成の歪みによる影響というような議論はあったんでしょうか。

日本国憲法
第15条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

第47条 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。

公職選挙法
(一人一票)
第三十六条  投票は、各選挙につき、一人一票に限る。ただし、衆議院議員の選挙については小選挙区選出議員及び比例代表選出議員ごとに、参議院議員の選挙については選挙区選出議員及び比例代表選出議員ごとに一人一票とする。

Amazon Kindleの返送対応が素敵だった

2月半ばにAmazon Kindleのモニターが壊れまして(昨年10月購入)、Amazon(US)にお願いしたら代替機が無料で4-5日くらいで届いていました。そのオペレーションもよかったですが、交換プロセスはこちらが分かりやすかったので割愛します。

そこで、元の壊れたKindleを1ヶ月以内に送り返さないと新たな本体の代金を課金すると言われていたところ、EMSで送り返そうとしたらリチウムイオン電池が入っていて出国時に引っかかりもどってきたり(郵便会社の窓口では電子書籍リーダーと言って中身も見せて問題ありませんと言われたのに・・・)、その後地震があってどたばたしていたら、気づいたら1ヶ月以内の期限を過ぎてしまっていました。

ごめんなさい、遅れてしまいましたがこれから送り返すので課金しないでくれないでしょうか、と問い合わせを入れたら「このような状況なので、いつでもよいのでご都合よいときにお返しください」というような返答が半日くらいですぐ以下のように返ってきました。戦略も大事だけど、こういった細やかな顧客接点でのオペレーションが、継続と非継続(その後戻ってこない)を分けると、当たり前のようで大事なことができている会社は素晴らしいなと思いました。

(超訳)
お世話になっております。

今回の状況がご迷惑をおかけしていることをお詫び申し上げます。

回避できない状況によりKindle本体を返送できなくなっているため、Amazonはあなたの返送締切りを延長することにしました。

いつでもご都合よいときにご返送ください。ご安心ください、我々はこの注文に関して一切あなたのクレジットカードに課金致しません。

Kindleにご興味を持っていただきありがとうございます。今後とも引き続きよろしくお願いします。

(原文コピー)
Hello,

I'm sorry for any inconvenience this situation has caused you.

Since you're unable to return the kindle device due to some unavoidable situation, I've extended the return time window for your kindle return.

I suggest you to return the kindle whenever its possible to you, rest assured, we will not charge any amount from your credit card for this order.

Thanks for interest in kindle. We look forward seeing you soon again.
(以下略)

17 Mar 2011

地震が起きてから

金曜日は家に歩いて帰りました。水が切れていたので買いました。
土曜日は木曜日まで食べつなぐことになるカレーを作りました。
日曜日は某企画の会場下見に行きました。
月曜日は会社に自転車で行きました。片道5キロちょいなので楽でした。
火曜日も会社に自転車で行きました。帰りは遠回りしてしまいました。
水曜日は自宅勤務になりました。スーパーで野菜とお魚を買いました。
木曜日も自宅勤務になりました。早期帰宅になった友人と一緒にご飯を食べました。

明日も自宅勤務になりそうです。NODA MAPの祈りの三部作「キャラクター」「表に出ろいっ!」「南へ」の感想をまとめるために、もう一度「キャラクター」のWOWOW録画を見ようと思います。

27 Jan 2011

競争の作法(著:齋藤誠)

競争は蔑むのは間違っているし、かといってあんなしんどいものを善だと言い含める言説も間違っているというのは非常に共感が持てました。

資本・土地が効率的に活用された方が特になるようなインセンティブ構造を作り直す(投資制度のイノベーション)とともに、人々は無駄な仕事をなくして生産性を向上させ、余剰時間で「市場競争」以外の生き方の美学を見出す(働き方のイノベーション)という、二つのイノベーションを同時並行に進めないといけない点は同意しますが、具体的な方策の提示が少ないことが残念です。

余談ですが、生産性向上というのは、我々の行っている「経済ゲーム」の基本ルールの根っこであり、ゲームに乗る以上安易に避けては通れない道ですが、たとえゲームに負けても「食って」いけるようなセーフティーネット、幸福を得られるようなパブリック・グッズのある種ボランタリーな交換活性化といった課題も、同時に解いていかないといけないのでしょう。そこまで広げた経済学の議論を期待します。

本書の結論:

  • 一人一人が真正面から競争と向き合う
  • 株主や地主など、持てる者が当然の責任を果たしていく
  • 非効率な生産現場に塩漬けにされている労働や資本を解き放ち、人々の豊かな幸福に結びつく活動に充てていく


面白かった統計数字:

  • 2002年~2007年の戦後最長の経済成長(GDP11.1%増)の大半は、リーマンショックで吹っ飛んだ(2008年Q1から2009年Q1で8.6%減)
  • 同経済成長期間の就業者数増は1.3%増で、同じくリーマン・ショック前後で0.8%減、雇用者報酬では2.6%増/2.1%減、なんと実質現金給与総額では1.4%減/3.0%減と、経済成長の恩恵は雇用者に分配されていない
  • 輸出額から輸入額を差し引いた純輸出実質額が2008年では27兆円だが、円安と資源高の影響による交易損失26兆円。輸出による差分相当の所得が国外移転していた。(2004年では純輸出実質額14兆円、交易損失4兆円)
  • 同時期の、実質ベースの過去10年間平均企業収益(シラー式)で見たPERは、プラザ合意後バブル期なみの100倍前後(その間は40倍前後を推移)
  • 1981年以降2005年までの家計が、直間の資本市場を通じた資金供給による民間設備投資で被ったキャピタルロスは累積150兆円程度(2000年を基準値)。1990年代は年間20兆円程度のキャピタルロス、一方で同時期の民間設備投資は年間70兆円程度なので3割近くが死に金

自分なりのインプリケーション:
競争は蔑むのは間違っているし、かといってあんなしんどいものを善だと言い含める言説も間違っているというのは非常に共感が持てました。

資本・土地が効率的に活用された方が特になるようなインセンティブ構造を作り直す(投資制度のイノベーション)とともに、人々は無駄な仕事をなくして生産性を向上させ、余剰時間で「市場競争」以外の生き方の美学を見出す(働き方のイノベーション)という、二つのイノベーションを同時並行に進めないといけないですね。

生産性向上というのは、この「経済ゲーム」の基本ルールの根っこであり、ゲームに乗る以上安易に避けては通れない道ですが、たとえゲームに負けても「食って」いけるようなセーフティーネット、幸福を得られるようなパブリック・グッズのある種ボランタリーな交換活性化といった課題も、同時に解いていかないといけないのでしょう。

余談ですが、お金の流れを考えていると、何も考えずに預金して国債にお金が流れるのを黙認していることのしっぺ返しを、日本国民は遅かれ早かれ受けるというのは決してunfairではない気がしてきます。

26 Jan 2011

Money runs

Found in the entry at Oki Matsumoto's blog.
Easy to understand how money goes through different accounts:

It is a slow day in the small Saskatchewantown of Pumphandle and Streets are deserted. Times are tough, everybody is in debt, and everybody is living on credit.
A tourist visiting the area drives through town, stops at the motel, and lays a $100 bill on the desk saying he wants to inspect the rooms Upstairs to pick one for the night.
As soon as he walks upstairs, the motel owner grabs the bill and runs next door to pay his debt to the butcher.
The butcher takes the $100 and runs down the street to retire his debt to the pig farmer.
The pig farmer takes the $100 and heads off to pay his bill to his supplier, the Co-op.
The guy at the Co-op takes the $100 and runs to pay his debt to the Local prostitute, who has also been facing hard times and has had to Offer her "services" on credit.
The hooker rushes to the hotel and pays off her room bill with the hotel Owner.
The hotel proprietor then places the $100 back on the counter so the traveler will not suspect anything.
At that moment the traveler comes down the stairs, states that the rooms are not satisfactory, picks up the $100 bill and leaves.
No one produced anything. No one earned anything... However, the whole Town thinks that they are now out of debt and there is a false atmosphere of optimism. And that, ladies and gentlemen, is how a "stimulus package" works.

22 Jan 2011

財政危機と社会保障(著:鈴木亘)

財政危機と社会保障 (講談社現代新書)


  • 2010年度予算=財務(公債発行-償還+埋蔵金)で34兆円プラス=税収-支出で34兆円マイナス
    • 増税アプローチでは税率を倍近くしないとプライマリーバランス達成不可
    • 支出削減は避けられないが、支出の多くを占める社会保障「関係」費の20兆円は年金・医療保険・介護保険への補填で、全体で27兆円の年間1.3兆円の増加を容認
    • 2015年までにプライマリーバランス赤字を半減(=17兆円マイナス)、2020年までにプライマリーバランス達成のためにはメスをいれる必要
  • 政府債務対GDP費は200%超、ネット債務でも100%近い
    • 第二次大戦直後の財政状況に類似
    • 1945年秋から1949年春の3年半に消費者物価指数が98倍のインフレで解消
  • 日本の生産年齢人口は1995年の8700万人でピークアウト、2030年には7000万人(約2割減)、さらに2010年には2500万人になる可能性も
    • 高齢者を現役何人で支えるかは現在3人で1人が、2025年には2人で1人に
    • 年金の世代間賦課方式の維持には労働生産性向上and/or労働投入割合増加で年間2.7%改善を15年続ける必要
    • 00-05年の生産性上昇率が2.4%であることと、インフレ率を考えると不足(http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je07/07f21020.html)
  • 社会保障サービス(医療/介護/保育)は高い参入障壁と価格統制により、イノベーションが起きにくい業界構造になってしまっている
    • サービス業故にコストの大半は、価格統制の結果低く抑えられている人件費
    • 家計から徴収した税金が、設備投資に回るよりもほとんど家計にぐるっと戻るだけ
    • 現状の構造を維持したたまま、社会保障に公的資金をシフトする政策は成長戦略的には誤り