7 Dec 2011

国の破綻に際してどのような民主主義を描くべきか

AGORAの「続「財政破綻させるべき」論-国家のDESと合理的金権政治 --- 伊東良平」は思考実験として非常に面白いので、そこから2点必要な準備を考えました。

1点目は資金繰的な観点ですが、日本政府が3-5%の元本減免やリスケを行った場合、いわゆる再建会社が社債マーケットにアクセスするには再建計画達成などの正常化を示すことが必要だと捉えられることから考えると、国債再発行まで時間がかかる間のファイナンスをどうつなぐかという問題が起こりえるということです。その場合は再建期間を見定めて、もっとカット率を高くするないし繰延期間を長くしてその分を次のファイナンスまでの間を持たす+DIPファイナンスを用意しておく(IMFで対応可能な規模をもはや超えているとは思いますが)のが現実的だとは思います。

次のファイナンスまでが長すぎると二次破綻のリスクもありかつ財政正常化までは円安・金利高というマーケットからの反応が想定され実体経済への影響も深刻になりますが、一方であまりに短期間のハードランディングだと日本政府の債務残高を減らす一方で金融機関のバランスシートひいては金融システムが持たずそちらのパスから実体経済の流動性に多大な影響がある、という相克が生まれるのは間違いないので、日本の金融システムの主要プレイヤーを巻き込んだ(=逃げさせない)「ぎりぎりの落とし所」のすり合わせを極めて短期間に行えるような準備が必要だと思います。

2点目は、日本政府のような民主主義を是とする組織体にDESを行うということは、いわゆる株式会社の債務超過からの再建においてDIP(Debtor In Position)状態としてみなして株主主権を停止することから考えると、日本国民の主権を緊急措置的に停止するならばその際の主権の正統性と正当性の担保の仕方を政治的にきちんと定義しておかないと、権利行使を誰もできずただの政治的カオスに陥るのでないかという点です。

そのような法案を定義することでそれ自体がマーケットのネガティブ反応を生みかねないですが、それはさておき政治の問題として、国債を保有している主体(主には銀行・保険会社など)が首相を決めるというような状況をありとするのか、それでも民主主義に拘り破綻決定時点で国民投票を行なって直接投票すべきなのか、あるいは他のやり方で主権正統性を担保するのか、という問題は考えておくべきことかなと思います。その際には、「再建する日本の50年程度に最も責任を持てる」という観点から、例えば15-30歳のみの投票というような選択肢もあり得べしかと思います。

この2点の準備を「思考実験」でも行っておくことで、X-dayが来たとしても比較的すぐに動けるように思えます。

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