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13 Jul 2015

Japan's Lost Decades; there are many radical changes but the inertia from past success prevented some ideal changes.


Authors : Yoichi Funabashi, Barak Kushner
Published : 2015-04-20
The phrase 'A Lost Decade' got suddenly popular in Japan as it spotted the depressing mood of political and economic standstill after the asset bubble burst in early '90s. Including a first decade of twenty-first century, despite the era of the Koizumi administration with many reforms, that disappointing notion expanded to 'Lost Decades' these days.

However, this book which is the key deliverable out of the 'Japan's Lost Decades' project by Rebuild Japan Initiative Foundation (RJIF, a globally well-ranked independent thinktank in Tokyo), shows actually dynamic (many) changes in how Japan runs its political, economical, and social systems, in contrast with the static and passive implication of the word 'lost'.

This book, Examining Japan's Lost Decades, was written in plain essays by about 20 experts in population, macro/micro economics, economic policy, labour market, education, energy and nuclear power plant, political system, national security, trade, regional politics, US-Japan coalition, history problems, foreign affairs, and vision/values. The target readers are well-educated but non-experts who are keen to understand Japan from the bubble burst (and mechanisms behind) before recent Abe administration.

Those essays are highly interlinked, and this network of chapters would provide utterly unique perspectives on actual changes (and un-changes) in Japan. In reality, Japan was not standstill at all; rather, it aimed for reforms of systems optimised for the high-growth and cold-war era and realised a lot. For example, changes are explicit in the flexibility Japan's labour market, its political system regarding general election and the power of Cabinet Office, and its foreign policy on national security after the miserable failure in the Gulf war. However, the inertia of great success in the past, especially in corporate management and education, did not allow Japan to escape from the legacy of the success experience, as referred as 'Japan As Number One' by Ezra Vogel.

What's more, the fundamental commonality among those 'lost' areas (to be precise, areas that Japan has lost) is procrastination of addressing issues critical for its systems (e.g. ageing and declining population) in pursuit of interests of inner circle, meaning lack of sound governance and appropriate pressure from external players. In other words, negative 'externality' of economics has been at work in multiple layers of the Japanese society.  

This 'externality' problem is certainly not unique only to this era of Japan; but it keep recurring for the very long history of humankind. Therefore it is too naive to say that we find 'one-fits-for-all' solutions to this. Instead, well-educated people in twenty-first century have to learn from this dynamic modern history of Japan through 17 chapters of this book, and must obtain each own takeaway from those mistakes and failures Japan has made.

Reference:
Japan as No.1
Author : Ezra F Vogel 
Published: 1980-09

13 Dec 2014

It's a wonderful life (by Nomad Cinema); yes it is, indeed.

After suffering from a cold for days unfortunately, I just got recovered by seeing the movie. Yes, 'no man is a failure who has friends.' (It's a Wonderful Life, 1946, directed by Frank Capra)

If there's a chance, I utterly absolutely indeed recommend to see it in a cinema, with good audience who clap their hands to thank to the truly wonderful movie. Today's fantastic event was was organised by the Nomad Cinema, who is supposed to donate 100% of their profits to The Sustainability Institute a pioneering environmental and educational charity in South Africa.
It's a Wonderful Life by The Nomad Cinema at the Look Out in the Hyde Park.
Indeed it is one of the best movies to wish a merry Christmas. The ending is so beautiful and heartwarming and the performance by James Stewart is just incredible. Just for my foot note, I did not know the fact that Frank Capra was from Sicily, Italy, like Giuseppe Tornatore, who directed Cinema Paradiso. I see they believed in the power of cinema, arguably.



23 Feb 2013

デフレーション―“日本の慢性病"の全貌を解明する(著:吉川洋)から展開し得る仮説

本書で展開されているデフレの原因は、ゼロ金利下で緩和が不十分とされる日銀の金融政策(いわゆるリフレ派)でも生産年齢人口減少(いわゆる「デフレの正体」)でもなく、雇用を維持して賃金を抑制する世界的には特殊な雇用形態を生み出した労働市場の失敗と、企業に対するデフレ・バイアスすなわちプロセスイノベーションにのみ特化しプロダクトイノベーションを怠った、というのは各種要素の影響経路を考えた時には合理的な説明であると考えます。

惜しむらくは、賃金抑制メカニズムのところで援用しているリプシーとトービンのモデルで、なぜ日本でのみアップサイドでの賃金の伸びが控えめで、ダウンサイドでの賃金の落ち込みが大きいのか、というところまで論を展開していただけるとよかったです。さらに、企業が陥ったデフレ・バイアスに対してガバナンスを働かせるにも、よちよち歩きの資本市場は間に合わず、金融緩和でじゃぶじゃぶの銀行ではもはやいうことを効かせられず、という私が仕事をしている上で感じている直感を、実証するところまで分析を踏み込んx`でいただければより我が意を得たりというところまで納得できたかと思います。

いずれにせよ、ソフトカバーでしたが、極めてまともな経済学の本でした。他の議論を訴える方々の回答を期待したいところです。




以下は個人的見解ですが、この本の結論をさらに展開させると、未検証ですが以下のような仮説が考えられると思います。

  • 賃金の上昇下落の非対称性は、皆で痛みを分かち合う方が人員削減よりよい、という社会通念によるものである。(雇用に対する社会通念)

  • そのような状況下でも大多数の従業員が退出オプションを事実上行使できないため賃金の下方硬直性が働かない。(労働市場の非効率)

  • だがそのような一律な人件費抑制を続ける企業は、ハイパフォーマーも等しく罰せられるから人材モラール低下につながり、大組織であることと相まってプロダクト・イノベーションが起きなくなり、結果、単価下落(プロセス・イノベーション)による競争に走る。(供給増<需要増となるようなプロダクト・イノベーションの減少)

  • そのような経営をおこなっている経営陣を監視すべき資本市場の反応としては、経営陣の交代を明確に訴えることは、普通株が幅広い株主に分散している中でマネジメント対案を提示することはコストメリットが合わず、株式売却による退出という形で緩やかな株価低下にはつながる。(意見を言わないエクイティガバナンス)

  • しかしながら、預貸ギャップを抱える銀行にとっては、人件費削減により安定キャッシュフローは見えているためファイナンスすることは可能であり、資金がつながる以上そのため当該企業の市場からの退出は進まず、価格低減による過当競争の構造が維持されてしまう。(デット・ガバナンスの不全)

  • 銀行間の貸し出し競争(オーバーバンキング)とゼロ金利政策の維持により、企業の金利負担は低いまま維持され、市場退出のプレッシャーは弱いまま残存する。(ゼロ金利政策の裏側)

  • そのような供給超過構造が10年以上維持され、民間需要減≒企業収益悪化による投資減+雇用報酬減による消費減+少子高齢化に伴う消費減、の中でGDP規模を維持するために政府支出が拡張され、結果として積み上がった債務が、長期金利を低く維持する政策へのインセンティブとなってしまう。(政府インセンティブの変化)

というようなデッドロック状態において、どこから変えるべき/変えられるのか。
・金融政策?
・財政政策?
・経済(ターゲット)政策?
・会社法制(含む倒産法制)?
・金融(資本/融資)市場?
・労働市場?

あと、上では十分に触れられなかったですが、少子高齢化、人口減少、女性活用、移民活用、あたりの人口問題も別途組み込んで考えてみたいですね。

16 Jan 2013

IGPI流二冊:経営分析/セルフマネジメントのリアル・ノウハウ

どちらもさらっと読めますが、書いてあることを実際に実践して実とするには最低数年以上の試行錯誤が必要かと思います。先に試行錯誤をしてきた身としては、いわゆる「戦略」や「キャリア」とかについての自分の問題意識が整理されて役に立ちました。惜しむらくは、学生のときに読んでいたら星五つだったかなと思います。



IGPI流経営分析のリアル・ノウハウ
基本的なヒアリング等から仮説的ななPL、BS、CSを連動する形で作り検証するとともに構造的な無駄を洗い出すというアプローチは当たり前に聞こえますが、実務的に事業の全体を見る立場からだとそのダイナミックなお金の流れを把握しないといけないということは、若手ビジネスマンや投資家にとっては参考になります。

ただし、いわゆる経営分析フレームワークは古典的な、歴史の検証を経たもの(3C,SWAT,PEST,5 Forces)に留めており説明やサブ概念の定義も他ビジネス書籍よりもさらっとした扱いになっているので、その点は別書籍を参照した方がよさそうです。

また、全体的な構成として、定義がはっきりしている規模・範囲・密度・ユーザなどの各種経済性と定義が曖昧な○○ビジネス/事業という言葉が代わる代わる出てくるため、分かる人には分かるだろうけどそうでない方には議論のストラクチャーが見えないかと思いますので、その点では不親切かと感じました。実際に手を動かしてやってみたことがある人でないとリアリティを持って読めないかと思います。


IGPI流セルフマネジメントのリアル・ノウハウ
タイトルだけを見たら巷にあふれる自己啓発本かと見間違いましたが、中身を読んだところ、最初の二章はM&Aに関する基本的な話のいわば前段であり、三章・四章が国内×海外企業のハイブリッド状態においてパフォーマンスを出せる人材要件と、そうなるためのアクションについてまとめられています。

三章に書かれている、どんなに会社と運命を同一化しようと片想いしても、「会社というのは、最後の最後で裏切る」というマインドセットはこれから不確実な世界を生きると人たちしては基本だと、筆者と同様にレビュワーも思いますが、世の中やマスメディアではあえて明示的に語られていないことではないかと思います。

四章では、それ故どんな状況になっても食っていけるだけのビジネスパースンになるために「セルフマネジメント」すなわち自分のリソースをマネージして成果を出すことが必須であり、具体的には、自らのビジネスを数字で把握し議論できるようになる、使う可能性の高い業務上の英語から学ぶ、他組織への出向や他部門へのローテーションで二本(以上)の軸を持つ、小さくても構わないのでバイサイドでM&Aや親会社と子会社のはざまで清濁併せのむ経験をするチャンスを探す、といった具体的・現実的なノウハウが書かれています。

なお、上では前段と書きましたが当初の二章も実は面白い内容が含まれており、「イノベーションに依存しなければいけない分野を捨て」た海外企業の事例や、M&Aによる「ムラごと売買」「経営陣を入れ替える」効果などは現実的な経営戦略論として色々なヒントになりました。

まとめると、ただ必要なスキルを羅列するだけでなく、なぜそのようなスキルがどのような環境で求められるか、といったコンテクストまで整理された良書でした。35歳くらいまでに前述のような具体的スキルは学んでおきたいと改めて思いました。


27 Nov 2012

採用基準(著:伊賀 泰代)

外資コンサルの陳腐化のはじまりとして、ついに採用基準にまで踏み込んだ本が出ましたね。

マッキンゼーの名前は使っていますが、現役の方ではないということに留意しつつ、書いてある資質(リーダーシップ、思考力(スキル・意欲・体力)、英語力)がある意味当たり前の能力であり、The War for Talent
The War for Talent
(これまたマッキンゼーですが)で10年以上前に書かれていたような話がようやく日本でも当たり前になったというところでしょうか。

資質については、実は順番が大事で1.リーダーシップ、2.思考力、3.英語力であり、最初に行くほど実践が何よりものを言う、さらに言えば実践の場を奪い合っていることを認識すべきである、ということでしょうか。



ダイヤモンド社
発売日:2012-11-09

採用基準関連のところで面白かったのは後述する思考力の分解と、採用基準とスクリーニング基準の違いくらいでした。筆者は思考力を思考スキル、思考意欲、思考体力の三つに分けていることはとても納得がいけるもので、特に思考意欲というものが一番原点にあって、意欲があって日々考えることで思考体力がどんどん着いてくるので最終的な思考力に差がついていくというような構造を捉えることができました。

リーダーシップの定義(成果を出すこと!)、ポジションとリーダーシップの順番、マネジャーとコーディネーターとリーダーの差異、リーダーの四つのタスク(目標を掲げる、先頭を走る、決める、伝える)、グローバルに求められる人材の要件(リーダーシップ、地頭の良さor個別分野における知識・経験、英語力)、などなど分かりやすい言葉でリーダーシップ論の論点が抑えられています。究極のところ、リーダーとは現実の課題に対し現実の解決策を実現して成果を出す人なのだ、とまとめたらあまりにも陳腐で筆者には怒られるかもしれませんがいかがでしょう。

また、日本におけるカリスマリーダー待望論と総量としてのリーダーシップ・キャパシティの不足の峻別は、正鵠を得ていると思います。だからこそ、リーダーシップ・キャパシティが総量として増えたとしても、リーダーシップを発揮できる単位がもっと増えていたら意味をなさないので、優秀なリーダーに寄せていく仕組みについても筆者の見解をお聞きしたいところです。

最終章の「リーダーシップで人生のコントロールを握る」はややマッキンゼー礼賛過ぎるかな、と感じました。要は、リーダーシップとかいう前にまずはHow do you lead your life?という問いが先に来る、ということでしょうし、それに気づかせてくれるような機関や機会は、マッキンゼー以外にもいろいろなところに存在していると思います。


9 Nov 2012

外資コンサルティングの提供価値の変遷

象徴的な二冊のノウハウ丸裸本を読んで(正確にはこれに「イシューからはじめよ」を足せば外資コンサルティングの三部作としてよいかと)、外資コンサルティングの提供価値が
・logical problem solving
・concise chart writing
・globally proven frameworks
といったclassical value propositionsから
・global knowledge transfer, thus large and wide networks are the competitive advantage
・speed and capability, thus brand of a firm is crucial to recruit talents
に不可逆的に移っていっていることを強く感じました。

新卒等でこれから外資コンサルティング業界に就職を検討されている方々は、これらの本を読みつつ、そういう競争環境になっていくことを理解した上で検討して欲しいですね。



logical problem solving
世の中にたくさんある問題解決本の集大成にして最高峰、しかも本当に大事なことは買わなくても表紙に書いてあります。すなわち、解くべきイシュー(答えを出せる課題)を見定めることですね。これが、言うは易し行うは難しですが、表紙をデスクに貼っておくだけでも効果がありそうです。


Concise chart writing
この分野の古典的作品としては、Before Afterの練習問題がたくさんある『Say It With Charts: The Executive’s Guide to Visual Communication』があると思いますが、その骨子を現代的な事例をベースにかつ極めてシンプルに提示した良作です。また、中途半端な話は避けてひたすらテクニックに終始していることも、実用面では極めてGoodです。あとは、本当にテクニックを身に着けたい人たちのためには、著者にスライド10枚を添削してもらえる権利を1万円くらいでつければいいのに、と思いました。

ただ業界の末端にいるものとして、この本だけではなく、例えば『新人コンサルタントが最初に学ぶ 厳選フレームワーク20』など、内部研修資料的なものがどんどん流出しているのをみると、なんとなく寂しい気持ちになるのは私だけではないと思いますので、星をひとつ減らさせて頂きます。

ちなみに、P25の図5の右側の矢羽は誤植かと思います。正しくは、ストーリー化→メッセージの作成→スライド作成、という順番でしょう。


Globally proven frameworks
いわゆるコンサルティング業界に就職した時に受けられるような研修内容が、たった千円の本にまとまっているなんて時代の変遷を感じさせます。もはやフレームワークやテクニックに本質的な価値はなくなっていることの証明のような本でした。内容は、某トップファームで使われているものですので(守秘義務のの問題はさておき)長く使われてきたという意味では折り紙つきですのでValue for moneyという観点では素晴らしく、あとはこれをどう使いこなせるか、でしょうか。




23 Sept 2012

株主主権を超えて(著:広田 真一)

企業の存在意義を多様なステークホルダーとの有形向けの価値取引を中心におくステークホルダー型モデルを、日本企業に関して当てはめて包括的な実証研究を提供した観点でこの著書はきわめて優れているものです。さらに、著者は人々の幸福感から議論を始めており、そのスタンスは形而上学的な議論に終始する学者とは一線を画するもので、非常に好感が持てます。

ただ惜しむらくは、著者が疑問を投げかけている古典経済学的な残余財産権を保有する株主主権型モデルが、若干時代遅れな議論になっている感がある点でしょうか。世界的な議論においては「会社は株主のもの」という単純かつナイーブな議論は蚊帳の外であり、有体に言ってしまえば、どのようにマクロな資本市場の不安定さを回避しながら一方でミクロな個別企業の企業価値を高めるようなガバナンスを成立させる経済制度を築き直すか、という両論を補う制度設計に議論の中心は移っていると思います。

さらに、そのような議論を日本人特有のムラ社会・集団主義的志向に当てはめたうえで日本人が幸せに生きていく現実制度論を展開できるか、が現代の日本の経済学者に求められている役割だと思います。





29 Apr 2012

解任(著:マイケル・ウッドフォード)

ウッドフォードさんは本当に反社会的勢力が怖かったんだな、ということが伝わってきた。それ以外は報道やインタビュー記事以上ではなかったのが残念。自分がこの立場だったらどうするか、うーん。


28 Mar 2012

日本のソブリンリスク―国債デフォルトリスクと投資戦略(著:土屋 剛俊)

日本国のソブリン(政府の信用、とでも言うべきか)のデフォルトにいたり得る経路を財政(政府)、景気(民間経済)、市場、日銀ごとのファクターをその順番で想定して各シナリオの確率を検討している第四章は他のいわゆる他の破綻本よりも精緻で非常に頭の体操の参考になりますし、三章までの各種数値を駆使した冷静な現状分析も頭の整理に役立ちます。

一転して、五章と六章は債券運用担当者向けの内容になりますが、結論としては国内運用サイドにおいてはできることはデフォルトがいつ来ても1歩先んじて機敏に対応できるようにしておくしかない、という結論は、国内金融機関が構造的に動けなくなっていることが浮き彫りになります。なお、五章のクレジット投資の基礎はだいぶ色んな詳細を端折っているのでこれは別の本で学んだ方がよさそうです。

大震災以前に書かれた内容がメインであり、大震災後については五章と終章に付記があるのみですが、基本的なメカニズムが震災を経て極端に変わったわけではないので十分に現在でも読む価値のある本でした。


この本の四章のシナリオを元に、それぞれに個人的に対策を打っておくのが吉だと思います。個人的な考えでは、現状の消費税増税(再来年!の2014年4月に8%、翌年10月に10%に上げる程度なのに)ですらこれだけの政局となるようでは、財政均衡に持っていくことが可能な点をあっという間に過ぎて、あとはどのようにカットするか(デフォルトを起こして保有残高の多いゆうちょ銀行・地銀を潰していくか、日銀引受を増やしてインフレ・円安を招いて国民に負担を押し付けて帳消しにするか)という問題処理しか残らない、というのがmost likelyなシナリオだと思っています。

今度、去年勉強会で作った簡易シミュレーションだと、色んな前提を非常にアグレッシブ*に置いてみてやっと均衡するくらいでした(下図の赤線部分)
ブログ作成者による日本政府借金額の試算(2011年時点)

*アグレッシブな前提

  • 人口推計は死亡低位・出生高位で人口減が緩やか
  • 人口当たり生産性は毎年1%ずつ改善
  • 基礎支出は当初から毎年10%ずつ削減して早期に50兆円まで抑制
  • 消費税率は2014年に8%(予想通り!)、次の選挙の2018年に15%
  • シミュレーション期間中に金利上昇なし

これをもう一回ブラッシュアップして、X-Dayの自分なりの目安を付けておこうと思います。



21 Mar 2012

電力関連で三冊:国策民営の罠、なぜメルケルは「転向」したのか、東京電力 失敗の本質

電力関連で三冊ほど読みました。「国策民営の罠―原子力政策に秘められた戦い」は原子力損害賠償法設立の経緯を推察した後半は読む価値アリ、「なぜメルケルは「転向」したのか-ドイツ原子力四〇年戦争の真実」は政治過程論としてはラフすぎるがまあ読み流しても面白い読み物、「東京電力 失敗の本質―「解体と再生」のシナリオ」は読む価値なし、という評価です。出せば売れるだけあって、だいぶコンテンツの品質が玉石混交(というか外れのものが多い)ですね。

前半の原子力発電がビジネスモデルとして破綻しているかどうかという議論は、海外試算の紹介程度で計算も議論も粗く、例もわかりにくいだけなのであまり役には立ちません。唯一、事実上の国策推進とすることで資本コストを下げていたという指摘だけ面白いと感じましたが、経済書ならば電力債金利の国債との比較と原子力発電割合の関係あたりを分析してほしいところです。

一方で後半の、五十年前の原子力損害賠償法の設立経緯を紐解いて行くところば読み応えがあり、明確な国家負担を盛り込んだ吾妻答申案に対して、国の負担を抑制したい旧大蔵省の下書きのもと現在の体制があるということが分かってきて面白いです。また、政権が変わったことで、原賠法十六条を解釈適用して支援して破綻もさせないことを政治的に避け、将来に渡る事業者負担を破綻に代わるある種の「見せしめ」として求める現行スキームは、パトスとルサンチマンの政治が優勢であるこの国には似合っているように思えました。


現実的なメルケル首相の対応、1980年から活動する緑の党、German Angst (ドイツ人の不安)、といったキーワードから、ドイツが東日本大震災後に可及的速やかに原子力発電所の段階的廃止になぜかじを切ったのか、何が日本と違うのか、を分析というか歴史の振り返りと印象論から説明していく「エッセイ」です。どちらかというとドイツ人論に近い本でした。一部眉唾な論も含まれてはいましたが、概ね読み物としては面白く読むことができました。


筆者の橘川先生は、10電力中7電力の社史編纂に関わったことがあるとそうですが、確かに歴史的経緯や各社の社員の雰囲気についてはそうなのだろうな、という記述が多いです。

ただ、技術的な理解や説明が曖昧であったり、提示される改革案(原子力を一般電気事業者から切り離して国営化、その他は垂直統合のまま民営)には電力制度全体や今後のエネルギー需要を見極めた視点がなく、競争が起こらないのも「暗黙の了解があるのではないか」といった曖昧な原因を指摘するにとどまり、何故地域独占が守られ相互地域への参入が少ないのかについてアクセスチャージ(託送料)という本質的な経済性を左右する点に全く触れていないのは片手落ちどころでは言えないかと思います。

なお、個人的には、東京電力企画部だけが経済学的な合理性を問う論争・理論武装をなしていたという記述を興味深く、東京電力には、おそらく記者会見とかでは出てこないようなミドル層や企画部は大変(学問的に)優秀な方がいるのだと推測しますが、彼らの力が活かせているかと思うと、ある種「垂直統合絶対」に縛られているので残念ではあります。




23 Jan 2012

組織運営に関する基本的ビジネス書を何点か

学生時代にNPO運営の参考として読んだ本について、無償のメンバしかいない組織だったので経験や人的ネットワークをうまく報酬として設計することに苦労した記憶を思い出しながら、当時のレビューを探しだしてブクログにも更新しておきました。

職務満足度と退職率の関係など、非常に興味深いテーマをわかりやすい切り口で調べており一読して理解できました。納得できたかというとそうでもないですが、「見通し」が欲しい、という主張と、「経営とは」に関する文章に関しては共感しました。


「組織」について考え出すときのスタートになる良書で、組織的な動きの中でつまずいたことがある人は見たことがある事象がたくさんでてきます。網羅的に書いてあるので一章だけを取り出して読んでも思考のきっかけになります。


「戦略思考」と呼ばれているもののケースとして非常に分かりやすくまとまっている良書です。


三枝 匡
日本経済新聞社
発売日:2001-09-17

論理性、愚直さ、徹底さ、真剣さ。この本の状況や主人公達をケースとして学ぶところは非常に多いと思います。大学時代に出会ったビジネス書の中でも、特に何回も読んでいる本です。


ジェームズ・C. コリンズ
日経BP社
発売日:2001-12-18

ビジネス書と言うよりは学問書です。愚直に実行することって簡単そうで難しいからこそ、それができる会社なり組織は強いのでしょうね。

14 Dec 2011

粉飾の論理(著:高橋 篤史)

高橋 篤史
東洋経済新報社
発売日:2006-09

昨今話題になっているオリンパスの粉飾事件に触発されて、過去の代表的な粉飾事件の概要を知りたいと思って手に取った本著ですが、連結決算導入前後の日本の大企業の粉飾の典型としてのカネボウ、無形資産中心のIT業界に対する監査の難しさと上場のデメリット側を突きつけたメディア・リンクス、そして資本市場を活用するための粉飾という新しい形を示したライブドア、と三者三様なケースを、丹念な取材を元として詳細に追いかける良書でした。

個人的な感想を付け加えるなれば、著者同様、その脇における監査法人の不作為や癒着、曖昧な立ち位置には疑問を感じることが多かったです。プロフェッショナルとしての監査を成立させるためには、ソフトローや個々人の職業倫理に全てを帰するのではなく、粉飾を見過ごした場合の一定期間の資格停止などの罰則を厳しくするハードローの改正や、監査フィーの出し手が(一部でも)取引所になるなどの思い切ったインセンティブ構造の変化を作らないと、また同じような粉飾とそれを見過ごすインセンティブを与えかねないのかな、と思います。

昨今、日本のスタートアップ業界も再び活気が出てきているように思えますが、これらの事例を他山の石として、またわけの分からない顛末にならないように、起業家のみならずそれをサポートする監査の方々にもある種踏み込んで取り組んでいただきたいと感じました。




2 Dec 2011

規制改革の経済分析―電力自由化のケース・スタディ―(編著:八田達夫、田中誠)

独立行政法人経済産業研究所(RIETI)における「電力自由化研究プロジェクト」の研究成果を取りまとめた本書ですが、非常に刺激的な内容になっております。論文集なので部分的に読んでも参考になりますが、特に面白く最近の電力に関する議論の参考になると感じたのは面白い順番では3章、2章、1章です。

まとめると既に実施された改革(1章、2章)により電力価格にしてそれぞれ1円/kWh前後の効果を得られていますが、さらに大きな効果は域内競争の本格導入(3章)により得られるということで、3日間の最大電力に基づく分析である点と安定供給という観点からの示唆はない分析という点に留意は必要ですが、今後の制度変更の議論の際には是非参考にすべき先行研究だと考えます。


以下は、各章の具体的な内容です。(あまり興味を持てなかった4章以降については割愛します、興味が有る方はご一読ください)

3章:電力市場における市場支配力のシミュレーション分析
 北海道と沖縄を除いた8発電者各社が供給量を定めるクルーノー競争を行い発電電力価格への影響力を持つ一方で送電料金は所与で送電価格支配力をもたず地域間の裁定機会もなしという想定で、各地域内の電力会社を分割して競争を導入した場合の消費者料金単価シミュレーションを行なっています。

 分析結果としては、ベースケースでは東西での単価差が6.43円/kWhにもなり、50Hz/60Hzの切り替えボトルネックとなる東京と中部の東西連系線は送電量はフル送電になります。まず東西連系線の容量を1200MWから2倍、3倍と高めていくと東側(東北・東京)の値段は下がり、西側(中部のみ)の値段が上がり、7200MW(現状の6倍)まで高めることで、他の西地域との価格差は2円/kWh超残りますが3地域(東北、東京、中部)の価格差は解消されます。

 また、東西連系線増設ではなく東電(文中ではG社となっていますが数字や地理的に自明です)を2分割~4分割として管内に価格競争をもたらすと1分割のときは19.23円/kWhだった価格が、2分割:14.45円/kWh、3分割:12.79円/kWh、4分割:12.26円/kWhと分割数が増えることで低下し(マークアップ率は68.7%から39.3%へ低下)、4分割では従来と逆転して東から西へ電力が流れるまでになります。

 さらに、東電を6分割(!)、他社を2分割した非常にアグレッシブなシナリオ分析では、価格は10.61円/kWhまで減少しており、完全競争想定時の7.3-7.5円のレンジには及ばないものの、非常に安価な電力供給がなされるようになります。


2章:送電料金改革の効果分析―パンケーキ方式から郵便切手方式へ―
 送電料金をパンケーキ方式(バーチャルに託送時の通過地域が重なるごとに課金を重ねる)から郵便切手方式(需要家立地に応じて発電者の場所を問わず全国一律に課金する)へ切り替えたことにより、完全競争下の前提で各地域における競争圧力が変化することを想定した全国的な電力の潮流図(連系線の送電量を含む)と生産者・消費者余剰等を分析しています。

 分析結果としては、パンケーキ方式からの変更により西から東への潮流が起きるものの、東京の揚水発電容量の電力供給寄与率を一定のレンジ(50%)に置いた場合には東西の連系線がパンクするほどの送電量にはならない(ただし、40%にした場合にはフル送電になりますが)ということが分かります。

 また、東京の揚水発電の想定をどちらのレンジにおいても、パンケーキ方式よりも郵便切手方式の方が東京の消費者価格は1円/kWh前後低くなるという結果が導き出されます。


1章:電力自由化はいかなる効果を持ったか―1990年代から現在までの定量的政策評価―
 95年の発電自由化、99年の小売部分自由化の効果を、実際の財務諸表数値をベースにして制度変更を表現するダミー変数を含めた回帰分析で推測しています。

 分析結果としては、98年度の供給費用を基準とした時に03年度時点では供給費用は16%(3.3円/kWh)低減しておりそのうち37%(1.3円/kWh)が制度変更の影響で、残りの63%(2.1円/kWh)の外的要因の変化のうち長期金利変化が40%、需要増加率変化が16%、燃料費変化が7%とまとめております。制度変更の影響は確かにあったが、実際には長期金利低下の影響が単独では最も大きかったのは若干皮肉ですね。

 さらに同じような部分自由化が他の産業にも同様の影響を与え得るかということでガス産業の自由化に当てはめて試算しており、ガス事業では電力とは異なって家庭用料金への価格変化は起こらずもっぱら産業用価格の変化に結びついており、さらに社会全体の総余剰は減少したと結論づけて、部分自由化への政策提言として1)経営情報の公開促進と2)経済厚生の常態的な監視と勧告制度の創設を提言しています。



11 Nov 2011

国債・非常事態宣言 「3年以内の暴落」へのカウント(著:松田千恵子)

キャピタルマーケットの銀行・格付け機関といった主要プレイヤーの立場からJGB(日本国債)見てきた方によって書かれた、非常に分かりやすい入門書です。ニュース等でちゃんと日本国債関連の議論に付いて行っている人にとっては特に新しいものはないと思いますが、家計金融資産残高を公債残高を超える日は遠くない(この本の試算では2016年)、銀行が保有国債のデュレーションを短期化している、各種経済指標を保守的に見たシナリオ下では公債残高は増え続ける、デフレは財・工業製品を中心とした影響でありサービス価格は依然として高止まりしている、といった点を数字でわかりやすく表示しているのは参考になりました。

ただ、他の方も書いておりますが、タイトルも副題も内容とは乖離していてマーケティング上の都合で付けられたことが推測されるのが残念です。非常事態宣言でも3年以内の暴落についても何も記載はありません。

11/14追記)
結局のところ、JGBをじゃんじゃん発行しても消化できる市場があったがそれが徐々に厳しくなっていることを説明しているだけであって、本格的にタイトになったらどのようなことが起こっていくか、といったシナリオについては殆ど記載がないのが残念です。

しかしながら、何がどの順番で起こるかについてはこれまで専門家のいろいろな主張を見ましたが意見が割れているようですし、これだけグローバルな金融市場が成立した中での先進国の内国債をトリガーとしたデフォルト・デノミは経験がないので(つまりこれだけ金融資産を溜め込んで国債消化余力を持った国は珍しい)、正直なところ起こってみないと分からないというのが現状なのでしょう。

なお、より本格的に学ぶには以下の二冊がオススメです。
国家は破綻する――金融危機の800年
国家は破綻する――金融危機の800年

日本のソブリンリスク―国債デフォルトリスクと投資戦略
日本のソブリンリスク―国債デフォルトリスクと投資戦略

4 Nov 2011

同和と銀行 三菱東京UFJ“汚れ役”の黒い回顧録(著:森 功)

帯にあるように「同和団体のドン」小西邦彦と「汚れ役」に徹した幹部行員(三和銀行)の関係から眺めるバブルの一面です。

銀行からノンバンクを経由した不動産投資、それを利用してのし上がる、同時に銀行に利用されたケースは大小たくさんあるのでしょうが、このケースは極めて典型的でもありそこに切り込んだこの本はジャーナリズムとして非常に優れたものだと思います。

全然違う側面から同和団体を取り上げた「放送禁止歌」と合わせて読んで感じたのは、差別自体を直接に声高に悪用した人がいた初期から時間が経つと、むしろそのことにより何となくアンタッチャブルになるこの国の「空気」を周りがうまく利用し始める(思考放棄なり落とし所なりのロジックとしてXXXが言うのだから・・・というような)という構造が、「ワシはそんなに悪やろうか。警察の調書を見ると、銀行の連中はみなワシに脅されて、仕方のう取引をした、言うとるんや」という弱音に端的に現れている気がしてなりません。




22 Oct 2011

生保再建(著:千代田生命更生管財人団)

千代田生命更生管財人団
東洋経済新報社
発売日:2002-04

2000年に経営破綻した千代田生命の管財人となった弁護士のチームがその話を換骨奪胎して共有可能な小説に仕立て上げた本ですが、小説というよりは法律家管財人から見たケース・スタディとして勉強になりました。

詳細な技術論・法律論の記載はありませんが、AIG(作中ではGIC)との交渉を中心とした、管財人チームのチームアップとセルサイドDDプロセスを回すにおける各種プロファーム(リーガル、FA等)の使い方と勘所は参考になります。一方、事業面については(事業)管財人としてAIGから派遣されてきたチームに任せきりだったようでそちらの施策や進め方については殆ど記述がなく、ターンアラウンド・ケースとしては片手落ちなのが残念なところなので、星を一つ落とさせて頂きます。




18 Oct 2011

チッソ支援の政策学―政府金融支援措置の軌跡(著:永松 俊雄)

公害という外部不経済の問題に対して、チッソという具体的な事例でどのように国・県・当事者企業・被害者というアクターが関わりあって政策を形成していったか(国と県との間のやり取りが本書のメインではありますが)を理解するのに非常に役に立つ良書です。

水俣病という問題が発生後しばらくして原因企業として特定されたチッソが経営不振になり、各種議論の上県債というルートで公的資金を注入し、その後患者支援が安定化して患者補償金よりも積み上がった公的債務償還金が上回るようになり、金融支援(低利借換え、利払い繰延等)を実施するに至る、といった流れを具体的な数値と制度・スキームの解説と共に概観することができます。

筆者の永松先生は一般化、理論化に対しての心残りを結語にも書かれていますが、一般化・抽象化してかえってわかりにくくするよりも、非常に優れた類まれなるケース・スタディとして、次世代の政策策定・決定者の研修等に使われて然るべきクオリティだと思います。余談ですが、法律や政策系の大学・大学院で、アクターごとにチームを作って議論をさせると面白いのではないでしょうか。

そのうち、今回の東日本大震災に伴う東電への支援措置との比較をまとめておこうと思います。



11 Oct 2011

Think Different

このキャンペーンについてエントリするのは多分3回目ですが、スティーブ・ジョブズがナレーションをしたバージョンを知りました。読み方として、最後の"do"を強調しているのがとても印象的です。



実際に放映されたバージョンはこちらのようです。


"Here's to the crazy ones. The misfits. The rebels. The troublemakers. The round pegs in the square holes. The ones who see things differently. They're not fond of rules, and they have no respect for the status quo. You can quote them, disagree with them, glorify and vilify them. About the only thing you can't do is ignore them because they change things. They push the human race forward. And while some may see them as crazy, we see genius. Because the people who are crazy enough to think they can change the world, are the ones who do."

17 Sept 2011

高齢化率と国民負担率:高村薫「新リア王」に触発されて

高齢化白書の最新版がニュースになっていて、高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)が2010年に23.1%になったようです。

以前とある勉強会資料として、横軸に上記の高齢化率を、縦軸に国民所得に対する負担率(税金・社会保障を含み財政赤字を含まず)を取って、比較対象の主要先進国の1980年~2007年のデータを散布図上にプロットしたところ、日本が急速な高齢化の中で国民負担率を上げられていないことが明確になりました。ちなみに、ドイツも似たような人口の動きをしていますが、負担率は50%前後と日本より10パーセンテージポイント以上高くなっています。
高齢化率(横軸)と国民負担率(縦軸)

高齢化の進展によってどうしても負担が増えるのはやむを得ないと思うので、財政的な破綻を避けるためには、人口構成を維持する(出生率を回復させたフランス・スウェーデンや、移民を受け入れるアメリカ・イギリスなど)あるいは、高齢化の進行に応じて負担率を高めていく(ただし、民度が低い場合のデモクラシー的には困難なプロセス)のシンプルな二択しかないと思っていますが、後期高齢者医療制度の顛末を見ても分かるように、この問題は容易に政治化(「お年寄りに負担を押し付けるのか」という感情的・扇情的な言説)されやすいのが現状です。

これを挙げて民主主義の限界と言う人もいるかもしれませんが、民主主義制度下において年金や社会保障を世代間負担の立て付けにしていることが問題、というか個人的には大きな誤りであって、決してデモクラシーそれ自体の問題だとは僕は思いません。が、デモクラシーの枠組みでの解決が困難になっているのは現実であるので、破綻という形のハードランディング以外の現実の着地の仕方を模索するのが、政治の役割でしょう。

高村薫「新リア王」を読みきった影響で、今日はすこし政治的な人間になっているようです。
新リア王 上新リア王 下
これらは「晴子情歌」「太陽を曳く馬」をつなぐ大事なピースであり、あくまで「父と子」の物語でした。昭和という時代を生きた「母と子」「父と子」そして平成に入った「子とその子」という連綿と繋がる物語であることをようやく理解し、改めて上記二作品も読み直さなければ、と感じました。

29 Aug 2011

Die Politik ist die Kunst des Moglichen (Otto Von Bismarck)

この英訳が"Politics is the art of the possible."で、そこから日本語の「政治とは可能性の技術」という言葉になっているのですかね。言うなれば、政治とは、現実的に可能な選択肢の組み合わせの中で成立させる、一回こっきりの人間の技(わざ)である、とでも。