27 Nov 2012

採用基準(著:伊賀 泰代)

外資コンサルの陳腐化のはじまりとして、ついに採用基準にまで踏み込んだ本が出ましたね。

マッキンゼーの名前は使っていますが、現役の方ではないということに留意しつつ、書いてある資質(リーダーシップ、思考力(スキル・意欲・体力)、英語力)がある意味当たり前の能力であり、The War for Talent
The War for Talent
(これまたマッキンゼーですが)で10年以上前に書かれていたような話がようやく日本でも当たり前になったというところでしょうか。

資質については、実は順番が大事で1.リーダーシップ、2.思考力、3.英語力であり、最初に行くほど実践が何よりものを言う、さらに言えば実践の場を奪い合っていることを認識すべきである、ということでしょうか。



ダイヤモンド社
発売日:2012-11-09

採用基準関連のところで面白かったのは後述する思考力の分解と、採用基準とスクリーニング基準の違いくらいでした。筆者は思考力を思考スキル、思考意欲、思考体力の三つに分けていることはとても納得がいけるもので、特に思考意欲というものが一番原点にあって、意欲があって日々考えることで思考体力がどんどん着いてくるので最終的な思考力に差がついていくというような構造を捉えることができました。

リーダーシップの定義(成果を出すこと!)、ポジションとリーダーシップの順番、マネジャーとコーディネーターとリーダーの差異、リーダーの四つのタスク(目標を掲げる、先頭を走る、決める、伝える)、グローバルに求められる人材の要件(リーダーシップ、地頭の良さor個別分野における知識・経験、英語力)、などなど分かりやすい言葉でリーダーシップ論の論点が抑えられています。究極のところ、リーダーとは現実の課題に対し現実の解決策を実現して成果を出す人なのだ、とまとめたらあまりにも陳腐で筆者には怒られるかもしれませんがいかがでしょう。

また、日本におけるカリスマリーダー待望論と総量としてのリーダーシップ・キャパシティの不足の峻別は、正鵠を得ていると思います。だからこそ、リーダーシップ・キャパシティが総量として増えたとしても、リーダーシップを発揮できる単位がもっと増えていたら意味をなさないので、優秀なリーダーに寄せていく仕組みについても筆者の見解をお聞きしたいところです。

最終章の「リーダーシップで人生のコントロールを握る」はややマッキンゼー礼賛過ぎるかな、と感じました。要は、リーダーシップとかいう前にまずはHow do you lead your life?という問いが先に来る、ということでしょうし、それに気づかせてくれるような機関や機会は、マッキンゼー以外にもいろいろなところに存在していると思います。


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