■民主党の「躍進」
まず、過去の自民党対民主党の流れをおさえておく。
1997年、2001年、2005年都議選結果の比較 |
01年都議選(小泉政権直後)で自民党は確かに勝率(立候補者のうち当選者の割合)と得票率(総有効投票数中の総得票数の割合)を伸ばした。しかし、その一方で裏では民主党が確実に勝率を伸ばしていた。
そして、今回の05年都議選では民主党は、03年の自由党との合併もあってカバーできる範囲を広げ、勝率は上がらなかったが、結果として多くの議席を確保することができ得票率は倍増に近い伸びを示した。自民党が得票率と勝率を下げた一方でこれは「躍進」と言っても過言ではないだろう。
■「反自公」仮定
ここで、全選挙区に候補者を出しており、都議会では第四党となっている共産党の存在に注目してみたい。同党は、97年都議選では44候補者中26名を議会に送り込み第二党となったが、01年都議選で15/44と大きく議席を減らし民主党の成長もあり第四党となっていた。同党が、趨勢を見極め、政策主張的な一致点は少ないものの、あえて「反自公」ということで民主党と選挙協力
を結んだら、今回選挙結果はどうなっていたか。
ここで、選挙協力の結果として、共産党候補者へ投票した人のうち
・50%は選挙協力の通り民主党候補者へ投票
・20%は自民・民主・公明以外の候補者へ投票
・30%は棄権
という投票行動を取ると仮定した。
すると、42選挙区中24選挙区では変化がなかったが、残りの選挙区では以下の議席の移動が推定された。
共産→ネットワーク 3(大田区、日野市、八王子市)
共産→自民 4(江戸川区、足立区、杉並区、板橋区)
共産→民主 5(練馬区、北区、中野区、世田谷区、新宿区)
共産→無所属 1(文京区)
自民→民主 3(荒川区、品川区、西多摩)
無所属→民主 2(三鷹市、府中市)
以上をまとめると、以下の票のような効果が推定される。
■まとめ
民主党は10議席をさらに上乗せできるが、これでは「反自公」として自公を覆すほどの規模には到達しない(政党間で議会協力をした方がまし)。さらに、仮定の数字の見積もりの甘さも考えられるし、今回の仮定では無視したが、実際には共産党と協力することで従来の民主党支持者が反発するというマイナス要因も考えられるので、結論としては、この「反自公」協力の
枠組みは、民主党として取るべき方向ではない。
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