9 Nov 2012

外資コンサルティングの提供価値の変遷

象徴的な二冊のノウハウ丸裸本を読んで(正確にはこれに「イシューからはじめよ」を足せば外資コンサルティングの三部作としてよいかと)、外資コンサルティングの提供価値が
・logical problem solving
・concise chart writing
・globally proven frameworks
といったclassical value propositionsから
・global knowledge transfer, thus large and wide networks are the competitive advantage
・speed and capability, thus brand of a firm is crucial to recruit talents
に不可逆的に移っていっていることを強く感じました。

新卒等でこれから外資コンサルティング業界に就職を検討されている方々は、これらの本を読みつつ、そういう競争環境になっていくことを理解した上で検討して欲しいですね。



logical problem solving
世の中にたくさんある問題解決本の集大成にして最高峰、しかも本当に大事なことは買わなくても表紙に書いてあります。すなわち、解くべきイシュー(答えを出せる課題)を見定めることですね。これが、言うは易し行うは難しですが、表紙をデスクに貼っておくだけでも効果がありそうです。


Concise chart writing
この分野の古典的作品としては、Before Afterの練習問題がたくさんある『Say It With Charts: The Executive’s Guide to Visual Communication』があると思いますが、その骨子を現代的な事例をベースにかつ極めてシンプルに提示した良作です。また、中途半端な話は避けてひたすらテクニックに終始していることも、実用面では極めてGoodです。あとは、本当にテクニックを身に着けたい人たちのためには、著者にスライド10枚を添削してもらえる権利を1万円くらいでつければいいのに、と思いました。

ただ業界の末端にいるものとして、この本だけではなく、例えば『新人コンサルタントが最初に学ぶ 厳選フレームワーク20』など、内部研修資料的なものがどんどん流出しているのをみると、なんとなく寂しい気持ちになるのは私だけではないと思いますので、星をひとつ減らさせて頂きます。

ちなみに、P25の図5の右側の矢羽は誤植かと思います。正しくは、ストーリー化→メッセージの作成→スライド作成、という順番でしょう。


Globally proven frameworks
いわゆるコンサルティング業界に就職した時に受けられるような研修内容が、たった千円の本にまとまっているなんて時代の変遷を感じさせます。もはやフレームワークやテクニックに本質的な価値はなくなっていることの証明のような本でした。内容は、某トップファームで使われているものですので(守秘義務のの問題はさておき)長く使われてきたという意味では折り紙つきですのでValue for moneyという観点では素晴らしく、あとはこれをどう使いこなせるか、でしょうか。




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