20 Aug 2005

「敵」に塩~郵政解散(3)~

話題になっている小選挙区広島6区。

前回総選挙では、
当選 亀井 静香  67 自民  前 117659 (9回目)
比当 佐藤 公治  44 民主  前 100677 (2回目) 重複
   寺田 明充  52 共産  新  10846
という結果だった。

ここでポイントなのがこの地区の比例区得票数で、ざっと計算すると
民主:8万、自民:8万、公明:4万、社民:1万、共産:1万となっている。
これを前提に、複数シナリオをシミュレートしてみる。

A)亀井(自民非公認)vs佐藤の一騎打ち
自民支持層(ロイヤリティが高く前回「比例は公明へ」を守った組織票的4万票とそれ以外の8万票)が自主投票になり、佐藤が基礎票として9万票(民主+社民支持層)持つことから、自民支持層の8万票の部分から20%の造反があれば(亀井と党本部との対立を考えれば十分にありそう)、佐藤が当選することになる。

B)自民党が公認で新人を投入
民主支持層8万票を部分的に食うことができるかもしれないが、例え20%を食って、かつ党公認を元に組織票的な4万票を確保したとしても、残りの流動的な自民支持層8万票を現職9選の亀井と奪い合って3割以上を確保できないと負ける。亀井は8万のうち9割以上を確保すると当選の目があるため支持拡大を図るだろうが、7割以上確保したら共倒れになる。佐藤は、8万×80%+1万=7.4万+αの得票を期待できるため、「漁夫の利」を得る可能性が高い。

C)無所属の堀江社長投入
この場合、1)と同様自民党支持層は自主投票となる。この時に、彼らは亀井・堀江・佐藤から誰を選ぶのか。また、民主支持層はどのように動くか。ここで、広島6区の有権者は三原・尾道市というそこそこ大きい市部(2市で有権者14万)をのぞいて、20万は小さな市町村に分布しており、殆どは亀井が前回勝っている。このように比較的小さな市町村に分布する自民支持層が、堀江に動くとは考えにくいし、自民党県連が「誰を応援しても問題ない」と安堵しているようだと、彼らの多くが亀井に投票して、結果、亀井は7-8万票を確保するのではないだろうか。さらに、民主支持層が多い都市部を中心とした選挙運動を堀江が展開したとしたら、佐藤と堀江が食い
合ってしまい、見事に「漁夫の利」を得るのは亀井になる。

広島6区は、都市部の支持だけで勝ち抜ける選挙区ではない。そこで、都市部に強そうな堀江を投入したことは、結果として亀井に塩を送ることではないだろうか。自民党執行部からすれば(小泉の意向はともかく)、野党の民主党候補よりも、今後再度一緒にやれるかもしれない人を考えた結果なのかもしれない。それだけでなく、「自民公認」にしていたら、6区を取れたとしても全体の趨勢についてダウンサイドリスクが大きい気がする。

いろんな要素を考え、ある意味、今回総選挙では広島6区は「捨てた」のだろう。静的な予想だけでこれだけ考えられたので、これからのダイナミックな選挙戦の動きを楽しみにしたい。

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