26 Aug 2005

プライマリーバランス黒字化~郵政解散(5)~

郵政民営化で国債発行にディスプリンが効くとしても(あやしいが)やはり選挙の本質的な争点は財政改革だろうと、財政学の試験勉強も兼ねて勉強。

まず、2005年度の一般会計予算のおさらい。15.9兆円の赤字状態から開始。想定以上にシビアな結果になった。


その上で、政府・自民党が掲げている「2010年度のプライマリーバランスの黒字化」の実現のために、現実的に数値を動かしてみた。確かに現状から歳出2割強をカットすれば実現はするのだが、もう少しシビアに考えてみた。

■歳入
・所得税(+2.6兆円)、法人税(+2.3)、その他税(+1.8)を2割増
・消費税を倍増(消費税10%導入、+10.2兆円)
■歳出
・社会保障費(年金・医療・介護etc)を3割増(+6.1兆円)
・公共事業を3割減(-2.3兆円)
・地方交付税交付金を2割減(この分の地方財源については放置、-3.2兆円)
■その他の想定
・国債費1割増(金利上昇による利払費増、+1.8兆円)
という「増税(+16.9兆円)+歳出微増(+0.6兆円)」によって、ようやく「プライマリーバランス黒字」を達成。

国民負担率にいける租税負担率は現状21.5%の+5ポイントを見積もっても、まだOECD比較では低水準になる。※黒字幅は0.3兆円が正しい、上記0.1兆円は計算ミス

ちなみにこの作業は、財務省のゲームでもできる。民主党マニフェストだと、3年間で
「マニフェスト政策実施のために約7兆円を充当する一方で、
  ・国の直轄公共事業半減(1.3兆円)
  ・国家公務員人件費総額2割減(1兆円)
  ・特殊法人向け支出半減(1.8兆円)
  ・現在の個別補助金の一括交付金化に伴う2割減(2.8兆円)
  ・税源移譲に伴う交付税削減(1.7兆円)
  ・その他経費の1割削減
  ・特別会計の徹底的な見直しなど
によって、17兆円の既存経費カットを実現します。」となっていて、火急な増税
はしない(当座の年金目的消費税3%は除く)としているが、どちらにせよいずれ
必要になるだろう。

自民党マニフェストだと過去5年間で10兆円削減の実績には触れているが、具体的な今後の削減案には触れていない。政府税調の発表はどうなるのか。


これを5年で達成するとなると、おおよそ05年度発行35兆が10年度には20兆へ
減少して積み上がりが止まるので、線形減少で考えるとプラス145兆といった
ところだろうか。さらに、2005年3月末現在の国の借金残高を見ると、
      発行残高 前期末増減
国債     626.4   69.9
借入金     59.1   -1.5
政府短期証券  96.1   10.0
政府保証債務  58.1   -0.2
合計     839.7   78.2
となっているので、1000兆円前で残高が横ばいになるはず。個人金融資産が1400兆円の国家において、これはどれぐらいの水準になるのか。75%を超えたくらいか・・・まぁ法人金融資産もあるが、一斉の国債売りが起きるような水準がおそらく国家としてのbankruptcy pointになるだろう。

そのポイントを理解して、どこまで政治で争っている「余裕」があるのかを見極めてから今回は投票したいなぁ。とか考えていたら、やたら国債やらの残高伸び額が一般会計に現れる部分より大きい。そうか、特別会計の分かと考えて、特別会計の歳出総額を探したら、411.9兆円。明日は財政学のここらへんを復習せねば。財政は広い。

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