風邪を引いて+クリスマス休暇で進んでなかったThe Official Guide for GMAT Review (12th edition)のMathのSample Questionsを解いてみました。
まずはMathの方ですが、Problem Solvingが54分掛けて19/24(ケアレスミス2、単語で躓いたもの2、数分で解けなかったもの1)で、Data sufficiencyが42分掛けて21/24(ケアレスミス1、単語で躓いたもの2)という状況で思ったより間違えました。ちょうど96分で48問、1問平均2分なので慣れてくれば時間の問題は全くなさそうです。ただ、試験的なお勉強が久しぶりなのを差し引いても、きちんと集中してやらないと満点は出なそうですね。明日はVerbalをやってみて、あとはおなじOfficial Guideの問題を時慣れたら、無料テストを試して、計画通り来年1月にでもとりあえず1回受けてきますかね。
GMATを主催している団体のHPから無料テストをダウンロード(会員登録が必要)しておきました。
http://www.mba.com/the-gmat/download-free-test-preparation-software.aspx
なお、GMATのフォーマットについて更新があったようで、2012年6月からGMATにグラフやデータから意味合いを読み出すIntegrated ReasoningというSectionが増えるようですね。まあこれは仕事で慣れている分野なので問題はなさそうです。あと、採用する側からしたら、1年目・2年目は実際の学生というサンプルが少ないためにこのスコアで優秀かどうかを判断しにくいと思うので、あくまで様子見程度にしか使われないのではないでしょうか。
公式の説明はコチラにありました。
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26 Dec 2011
「since, as, because」の使い分け(WSJより)
sinceやasは軽い、と何となく印象で捉えていたのがはっきり差が分かりました。φ(..)メモメモ
http://jp.wsj.com/Life-Style/node_365583より以下コピペです。
【表現のツボ】
今週は、日本人が見落としがちな理由を表す「since, as, because」の使い方の違い。例文冒頭の後半に出て来る「...since they may only 」の「since」だが、これは「as」に置き換えても違和感はないが、「because」に置き換えると問題が起こる。筆者の意図と異なってしまうから だ。
というのも「as, since」は既に皆が知っていることを理由として提示するときに使うのに対し、「because」はまだ皆が知らないことを理由として強調したい時に使うのが原則だからだ。つまり株主総会の要求や出席の条件は皆が知っていることで筆者のこの文章の主眼は「障害に直面する恐れ」にある。このため 「since~」で始まるこの文章の訳では理由を表す「~からだ」をつけない工夫がされている。
この違いは、文章構成にも影響する。どの 言語も程度の差こそあれその傾向があるが、英語でも重要なこと、自分の最も伝えたいことを文章の後ろの方へ置こうとする。このため「as, since」で始まる理由を表す従節の文章は冒頭に来ることが多いのに対し、「because」で始まる理由の文章は主節の文章の後に来るのが通例だ。
例を挙げると「Since I was tired, I went to bed as early as 8pm.=疲れていたから、なんと午後8時にはベッドに入った」という文章は「午後8時という早い時間に寝た」ことを伝えるのが筆者の主眼なため、理由を 表すsinceの文章は前に来ている。ところが「because」の文章では「I went to bed early last night because my boss unexpectedly called and asked me to come to the office at 6am this morning=昨晩早く寝たのは、突然ボスが電話してきて今朝は6時から仕事してほしいといってきたからだ」となる。
つまりこの文章に先立つ会話などで、相手に昨日早く寝たことを伝えてあって、それを不思議がる相手を納得させるため、相手の知らない理由の事実(ボスの予期せぬ早朝出社の要請)を印象がより強く残る文全体の後半で伝えるため「because」を使う。
21 Dec 2011
欧州債務危機の日本改革への意味合い
本日欧州債務危機の某セミナーを聞いてきて面白いと感じた点(と日本改革へのインプリケーション)を備忘録的に残しておきます。
- 政府予算引き締めは景気後退時に行うとさらなる景気後退による予想以上の税収減を招き、さらなる引き締めを要するという悪循環に陥りやすく、そうなると政治的にも不安定さが一気に高まるため、外需頼りの成長戦略では世界の成長エンジンがガス欠になると一気にナローパスになるリスクがある
- 意味合い:現在生産性の低い農業並びにサービスセクターを中心とした内需経済の構造改革が重要
- 銀行の債権エクスポージャーや貿易取引高からすると日本経済への直接の影響は限定的。アジア新興国(含む中国)との結びつきはより強いものの、90年代のアジア通貨危機を経てアジア諸国は対応ができるようになっているので間接的な影響も小さいと予想される
- 意味合い:冷静な資金循環統計=ファクトからorder of magnitudeをまずは捉える姿勢の大切さ
- 確かにEURO解体まで問題が発展したらGDP世界3位の経済である日本経済への影響は大きいが、ドイツがEUROを背負って事実上のマルク帝国を築くかどうかの政治的な決めの問題なので回避は可能。さらに、ギリシャは欧州にとっての対トルコ及びイスラム諸国との緩衝地であるので地政学的に守る方向に動くはず
- 意味合い”東アジアとくに朝鮮半島を中心とした地政学的な大局観・歴史観の醸成の必要性
- いつも差し迫った危機を訴えるのはマスメディアとエコノミストで、政治と国民の考える時間軸はもう少し長いはずなので政治リーダーは少なくとも数年間のスパンを持って考え実行するべきである
- 意味合い:民主国家の権力分立におけるマスメディアのガバナンスをどう最設計するかの構想も一体的に必要
15 Dec 2011
30 Day GMAT Success 2nd Edition
GMATを短期間に伸ばす必要がある人にとって非常に実践的なアドバイスが書かれています。特に、最初に模擬テストを(mba.comからダウンロードして)受けてみてから、どこか難しかったかを書き記してから採点を見て優先順位を決めるくだりは非常に参考になりました。英語なのでもちろんある程度英語を勉強してからの前提になりますが、先にTOEFL対策をしてある程度の文章ならさらっと読めるようになった当たりでオススメです。ちなみに、Amacon.comではKindleバージョンもお安く出ています。
14 Dec 2011
粉飾の論理(著:高橋 篤史)
昨今話題になっているオリンパスの粉飾事件に触発されて、過去の代表的な粉飾事件の概要を知りたいと思って手に取った本著ですが、連結決算導入前後の日本の大企業の粉飾の典型としてのカネボウ、無形資産中心のIT業界に対する監査の難しさと上場のデメリット側を突きつけたメディア・リンクス、そして資本市場を活用するための粉飾という新しい形を示したライブドア、と三者三様なケースを、丹念な取材を元として詳細に追いかける良書でした。
個人的な感想を付け加えるなれば、著者同様、その脇における監査法人の不作為や癒着、曖昧な立ち位置には疑問を感じることが多かったです。プロフェッショナルとしての監査を成立させるためには、ソフトローや個々人の職業倫理に全てを帰するのではなく、粉飾を見過ごした場合の一定期間の資格停止などの罰則を厳しくするハードローの改正や、監査フィーの出し手が(一部でも)取引所になるなどの思い切ったインセンティブ構造の変化を作らないと、また同じような粉飾とそれを見過ごすインセンティブを与えかねないのかな、と思います。
昨今、日本のスタートアップ業界も再び活気が出てきているように思えますが、これらの事例を他山の石として、またわけの分からない顛末にならないように、起業家のみならずそれをサポートする監査の方々にもある種踏み込んで取り組んでいただきたいと感じました。
個人的な感想を付け加えるなれば、著者同様、その脇における監査法人の不作為や癒着、曖昧な立ち位置には疑問を感じることが多かったです。プロフェッショナルとしての監査を成立させるためには、ソフトローや個々人の職業倫理に全てを帰するのではなく、粉飾を見過ごした場合の一定期間の資格停止などの罰則を厳しくするハードローの改正や、監査フィーの出し手が(一部でも)取引所になるなどの思い切ったインセンティブ構造の変化を作らないと、また同じような粉飾とそれを見過ごすインセンティブを与えかねないのかな、と思います。
昨今、日本のスタートアップ業界も再び活気が出てきているように思えますが、これらの事例を他山の石として、またわけの分からない顛末にならないように、起業家のみならずそれをサポートする監査の方々にもある種踏み込んで取り組んでいただきたいと感じました。
13 Dec 2011
「共産党宣言」(著:マルクス/エンゲルス)を読んで考えた、21世紀の資本主義への政治的処方箋
薄い本ですが、序文等を覗いた本文は五十頁程度、骨子の部分は数十頁で意外とあっさりと読むことが出来ました。
読み終わって感じたのは、この宣言はあくまでも資本主義に対するカウンターテーゼとして最も意味をなしたのではないかということです。
まず、資本主義の導入がこれまでの封建的な貴族などの身分制度を崩壊させて、その帰結として資本を持つごく一部のブルジョア階級とプロレタリア階級に分かれていくというロジックはおそらく現代にも当てはまるものだと思います。
その階級差への対策として、資本では負けても人数では多数を占めるプロレタリアートが経済的自由を勝ち取るためにまずは政治的自由(民主主義からひいてはプロレタリア革命まで)を得るのが先決であり、その数の力を利用するため「万国のプロレタリア団結せよ!」に至る処方箋を提示したのがこの宣言と理解しています。
この宣言があったことで、ブルジョア階級としては私有財産を否定されるような革命をされるよりはましという比較衡量から、民主主義を導入し社会主義的な所得分配策を実施していき、結果としてプロレタリア階級の政治的自由・経済的自由は大幅に増すことになって安定した、というのが20世紀の政治観としては妥当なのではないかと思います。その観点からは、この宣言は当初目指していたところを一定程度は果たしたとも言えるのではないでしょうか。
読み終わって感じたのは、この宣言はあくまでも資本主義に対するカウンターテーゼとして最も意味をなしたのではないかということです。
まず、資本主義の導入がこれまでの封建的な貴族などの身分制度を崩壊させて、その帰結として資本を持つごく一部のブルジョア階級とプロレタリア階級に分かれていくというロジックはおそらく現代にも当てはまるものだと思います。
その階級差への対策として、資本では負けても人数では多数を占めるプロレタリアートが経済的自由を勝ち取るためにまずは政治的自由(民主主義からひいてはプロレタリア革命まで)を得るのが先決であり、その数の力を利用するため「万国のプロレタリア団結せよ!」に至る処方箋を提示したのがこの宣言と理解しています。
この宣言があったことで、ブルジョア階級としては私有財産を否定されるような革命をされるよりはましという比較衡量から、民主主義を導入し社会主義的な所得分配策を実施していき、結果としてプロレタリア階級の政治的自由・経済的自由は大幅に増すことになって安定した、というのが20世紀の政治観としては妥当なのではないかと思います。その観点からは、この宣言は当初目指していたところを一定程度は果たしたとも言えるのではないでしょうか。
それでは、今後の世界においてプロレタリア革命が成立し得るのかという観点では、ITCの発展がコミュニケーションをやりやすくしている一方で、資本市場に対する資本家としてのアクセスの容易化がそもそもブルジョアとプロレタリアを分けることを困難になっており、さらに軍事革命についてはシビリアンコントロールと軍事技術の高度化が先進国における軍事革命(国軍でも私兵でも)を非現実的なものにしているため極めてナローパスであり、また社会民主主義的な政党が成立している国(ほぼ全ての先進国)ではそちらから政治的自由を行使した方が現実的になるため難しいのではないでしょうか。
今出し得る処方箋としては、今世紀に関しては、経済的には国を巨大な保険システムだとみなして(外交/軍事的な観点を一旦棚上げ)各人が拠出を出して最低限の生活水準を保証しつつそれ以上はガチンコで世界で競争させていくしかないのかな、と思います。新興国が人口ボーナスを武器に成長を続け経済の重心が外にどんどん向かう間は給与格差がグローバルに縮まる一方で国内格差はどうしても広がる期間であり、かつ残念ながら分配政策を続けられるほどの富はどの国も持ち続けないので、「そういう世界で暮らしていく覚悟」を早いうちから共有する必要があると思います。人口増加が90億人くらいで一段落するフェーズに入ったらまた別の世界観が広がると思いますが、それはその時の人たちが考えるでしょう。
そこで国内政治の論点の一つ目として、覚悟を持つ前に残念ながら年をとって他のことができなくなってしまった人を助けるべきかどうか、これは下手な世代間対立を煽るのではなく冷静にきちんと数字で若い世代に政治が問うべきだと思います。そうすればおそらく、As far as it's payable, yes. というところをマジョリティとして形成することが可能なのではないでしょうか。
そして二つ目の論点としては、「最低限の生活水準」の程度であり、低負担ならば低水準、高負担ならば高水準という当たり前のロジックを理解させた上で、国民がどれだけ隣人を同胞と思うか、助けたいと思うか、を民主主義で決めればよいと思います。これは北欧型で高負担になるよりは、もっと低い水準(現在の水準程度)に合意され得る懸念があると思いますが、個人的には、多少負担が増えたとしても、教育や医療に関して安心して生きられる水準まで引き上げたほうが成熟した国としてとよい社会だと考えてますので、国民負担率の水準としては現在の40%未満ではなく大陸ヨーロッパくらいなので50-60%のあたりになるように国民合意を作りにいく必要があると思います。
なおもう一つ棚上げした環境問題などの外部不経済への処方箋は、これはたとえ牛歩でも少しずつでも合意をして進めていく(絶対にテーブルから離れない、離さない)というスタンスを取り続ける一方で、排出権取引のようにどれだけ経済に取り込めるかのイノベーションを進めていくしかないと思います。
12 Dec 2011
GMAT初トライ
アゴスの無料オンライン試験で、GMATのQuantitative(数学)とVerbal(文法、読解)を受けて見ましたが、Quantitativeは8割、Verbalは7割の出来でした(ざっくり換算して610点くらいのよう)。思ったよりもVerbalが難しいというかtrickyでした。
僕はGPA(大学の成績)が群を抜いて悪いのでGMATでオツムの出来を証明するため720以上を目標にしており、そのためにはQuantitativeはほぼ満点(以下の縦軸で50点)であとはVerbalを8割(以下の横軸で40点)以上を目指すのが目安になりそうです。
Quantitativeは数学用語を覚えて少し昔の勉強を思い出せば満点は取れそうですが、Verbalは受験対策をしないと無駄に時間を取られそうな気がしますね。無駄なお金は使いたくないが時間を買うと思って場合によっては留学予備校も使うかなぁ。
僕はGPA(大学の成績)が群を抜いて悪いのでGMATでオツムの出来を証明するため720以上を目標にしており、そのためにはQuantitativeはほぼ満点(以下の縦軸で50点)であとはVerbalを8割(以下の横軸で40点)以上を目指すのが目安になりそうです。
Quantitativeは数学用語を覚えて少し昔の勉強を思い出せば満点は取れそうですが、Verbalは受験対策をしないと無駄に時間を取られそうな気がしますね。無駄なお金は使いたくないが時間を買うと思って場合によっては留学予備校も使うかなぁ。
11 Dec 2011
この国の統治機構の「ねじれ」
友人が主催した政治改革フォーラムを聞きながら、この国の統治機構は「ねじれ国会」だけではなくそうとうに「ねじれ」ているんだなあということを、6層に分けて改めて整理しました。
さてさて、どっから変えたらいいもんやら。一つ思うのは、これだけぐねぐねしていると、一箇所程度戻しても他のねじれに引っ張られてまたねじれてしまうのではないかということですね。かといって余りに大きなガラガラポンは痛みも大きいしなぁ。
- 三権分立のねじれ: 内閣提出法案を国会が修正し放題と強い、司法が弱すぎて(統治行為論で逃げる)バランサーがない
- 国会のねじれ: 参議院の拒否権が強すぎて法案が通らない(今国会の法案成立率は14/38本の34%)
- 政策立案のねじれ: 役所と与党のダイレクションが一致しておらず政治の意図や霞が関の政策立案機能が十分に生かせない
- 政党内のねじれ: 二大政党ともに政策理念で成立している党ではないので党内で百家争鳴ばかり
- 選挙制度のねじれ: 都市と農村の一票の格差が大きいまま放置サれている、妥協の産物である小選挙区比例代表並立でどのような代表を選ぶかも曖昧
- 有権者のねじれ: 歪んだ人口構成と世代間投票率ギャップが、年金に代表される世代間再分配政策と相まって世代間対立の土壌となっている
さてさて、どっから変えたらいいもんやら。一つ思うのは、これだけぐねぐねしていると、一箇所程度戻しても他のねじれに引っ張られてまたねじれてしまうのではないかということですね。かといって余りに大きなガラガラポンは痛みも大きいしなぁ。
7 Dec 2011
国の破綻に際してどのような民主主義を描くべきか
AGORAの「続「財政破綻させるべき」論-国家のDESと合理的金権政治 --- 伊東良平」は思考実験として非常に面白いので、そこから2点必要な準備を考えました。
1点目は資金繰的な観点ですが、日本政府が3-5%の元本減免やリスケを行った場合、いわゆる再建会社が社債マーケットにアクセスするには再建計画達成などの正常化を示すことが必要だと捉えられることから考えると、国債再発行まで時間がかかる間のファイナンスをどうつなぐかという問題が起こりえるということです。その場合は再建期間を見定めて、もっとカット率を高くするないし繰延期間を長くしてその分を次のファイナンスまでの間を持たす+DIPファイナンスを用意しておく(IMFで対応可能な規模をもはや超えているとは思いますが)のが現実的だとは思います。
次のファイナンスまでが長すぎると二次破綻のリスクもありかつ財政正常化までは円安・金利高というマーケットからの反応が想定され実体経済への影響も深刻になりますが、一方であまりに短期間のハードランディングだと日本政府の債務残高を減らす一方で金融機関のバランスシートひいては金融システムが持たずそちらのパスから実体経済の流動性に多大な影響がある、という相克が生まれるのは間違いないので、日本の金融システムの主要プレイヤーを巻き込んだ(=逃げさせない)「ぎりぎりの落とし所」のすり合わせを極めて短期間に行えるような準備が必要だと思います。
2点目は、日本政府のような民主主義を是とする組織体にDESを行うということは、いわゆる株式会社の債務超過からの再建においてDIP(Debtor In Position)状態としてみなして株主主権を停止することから考えると、日本国民の主権を緊急措置的に停止するならばその際の主権の正統性と正当性の担保の仕方を政治的にきちんと定義しておかないと、権利行使を誰もできずただの政治的カオスに陥るのでないかという点です。
そのような法案を定義することでそれ自体がマーケットのネガティブ反応を生みかねないですが、それはさておき政治の問題として、国債を保有している主体(主には銀行・保険会社など)が首相を決めるというような状況をありとするのか、それでも民主主義に拘り破綻決定時点で国民投票を行なって直接投票すべきなのか、あるいは他のやり方で主権正統性を担保するのか、という問題は考えておくべきことかなと思います。その際には、「再建する日本の50年程度に最も責任を持てる」という観点から、例えば15-30歳のみの投票というような選択肢もあり得べしかと思います。
この2点の準備を「思考実験」でも行っておくことで、X-dayが来たとしても比較的すぐに動けるように思えます。
1点目は資金繰的な観点ですが、日本政府が3-5%の元本減免やリスケを行った場合、いわゆる再建会社が社債マーケットにアクセスするには再建計画達成などの正常化を示すことが必要だと捉えられることから考えると、国債再発行まで時間がかかる間のファイナンスをどうつなぐかという問題が起こりえるということです。その場合は再建期間を見定めて、もっとカット率を高くするないし繰延期間を長くしてその分を次のファイナンスまでの間を持たす+DIPファイナンスを用意しておく(IMFで対応可能な規模をもはや超えているとは思いますが)のが現実的だとは思います。
次のファイナンスまでが長すぎると二次破綻のリスクもありかつ財政正常化までは円安・金利高というマーケットからの反応が想定され実体経済への影響も深刻になりますが、一方であまりに短期間のハードランディングだと日本政府の債務残高を減らす一方で金融機関のバランスシートひいては金融システムが持たずそちらのパスから実体経済の流動性に多大な影響がある、という相克が生まれるのは間違いないので、日本の金融システムの主要プレイヤーを巻き込んだ(=逃げさせない)「ぎりぎりの落とし所」のすり合わせを極めて短期間に行えるような準備が必要だと思います。
2点目は、日本政府のような民主主義を是とする組織体にDESを行うということは、いわゆる株式会社の債務超過からの再建においてDIP(Debtor In Position)状態としてみなして株主主権を停止することから考えると、日本国民の主権を緊急措置的に停止するならばその際の主権の正統性と正当性の担保の仕方を政治的にきちんと定義しておかないと、権利行使を誰もできずただの政治的カオスに陥るのでないかという点です。
そのような法案を定義することでそれ自体がマーケットのネガティブ反応を生みかねないですが、それはさておき政治の問題として、国債を保有している主体(主には銀行・保険会社など)が首相を決めるというような状況をありとするのか、それでも民主主義に拘り破綻決定時点で国民投票を行なって直接投票すべきなのか、あるいは他のやり方で主権正統性を担保するのか、という問題は考えておくべきことかなと思います。その際には、「再建する日本の50年程度に最も責任を持てる」という観点から、例えば15-30歳のみの投票というような選択肢もあり得べしかと思います。
この2点の準備を「思考実験」でも行っておくことで、X-dayが来たとしても比較的すぐに動けるように思えます。
5 Dec 2011
1年で死亡率1%の死亡率と生命保険
1年で死亡率1%とは具体的にどういう数値かと、標準的な死亡ケースと比べてみました。
2008年の国内男性の死亡数を五歳刻みで100%=全死亡数としたとき(定義は違うけどこの「平均寿命」は77.36歳)に、28歳以降に1年で1%の死亡率となるケースを独立事象としてその死亡率を加味したところ、90歳前後までいくとほぼ差がなくなりますが75歳くらいまでは標準より10数パーセンテージポイントは死ぬ確率が高まるようです。生命保険が30年掛け捨てで掛金と受取額の比率が10倍前後ならば、期待値的にはプラスになりますね。
2008年の国内男性の死亡数を五歳刻みで100%=全死亡数としたとき(定義は違うけどこの「平均寿命」は77.36歳)に、28歳以降に1年で1%の死亡率となるケースを独立事象としてその死亡率を加味したところ、90歳前後までいくとほぼ差がなくなりますが75歳くらいまでは標準より10数パーセンテージポイントは死ぬ確率が高まるようです。生命保険が30年掛け捨てで掛金と受取額の比率が10倍前後ならば、期待値的にはプラスになりますね。
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縦軸:累積割合、横軸:年齢 |
2 Dec 2011
規制改革の経済分析―電力自由化のケース・スタディ―(編著:八田達夫、田中誠)
独立行政法人経済産業研究所(RIETI)における「電力自由化研究プロジェクト」の研究成果を取りまとめた本書ですが、非常に刺激的な内容になっております。論文集なので部分的に読んでも参考になりますが、特に面白く最近の電力に関する議論の参考になると感じたのは面白い順番では3章、2章、1章です。
まとめると既に実施された改革(1章、2章)により電力価格にしてそれぞれ1円/kWh前後の効果を得られていますが、さらに大きな効果は域内競争の本格導入(3章)により得られるということで、3日間の最大電力に基づく分析である点と安定供給という観点からの示唆はない分析という点に留意は必要ですが、今後の制度変更の議論の際には是非参考にすべき先行研究だと考えます。
まとめると既に実施された改革(1章、2章)により電力価格にしてそれぞれ1円/kWh前後の効果を得られていますが、さらに大きな効果は域内競争の本格導入(3章)により得られるということで、3日間の最大電力に基づく分析である点と安定供給という観点からの示唆はない分析という点に留意は必要ですが、今後の制度変更の議論の際には是非参考にすべき先行研究だと考えます。
以下は、各章の具体的な内容です。(あまり興味を持てなかった4章以降については割愛します、興味が有る方はご一読ください)
3章:電力市場における市場支配力のシミュレーション分析
北海道と沖縄を除いた8発電者各社が供給量を定めるクルーノー競争を行い発電電力価格への影響力を持つ一方で送電料金は所与で送電価格支配力をもたず地域間の裁定機会もなしという想定で、各地域内の電力会社を分割して競争を導入した場合の消費者料金単価シミュレーションを行なっています。
分析結果としては、ベースケースでは東西での単価差が6.43円/kWhにもなり、50Hz/60Hzの切り替えボトルネックとなる東京と中部の東西連系線は送電量はフル送電になります。まず東西連系線の容量を1200MWから2倍、3倍と高めていくと東側(東北・東京)の値段は下がり、西側(中部のみ)の値段が上がり、7200MW(現状の6倍)まで高めることで、他の西地域との価格差は2円/kWh超残りますが3地域(東北、東京、中部)の価格差は解消されます。
また、東西連系線増設ではなく東電(文中ではG社となっていますが数字や地理的に自明です)を2分割~4分割として管内に価格競争をもたらすと1分割のときは19.23円/kWhだった価格が、2分割:14.45円/kWh、3分割:12.79円/kWh、4分割:12.26円/kWhと分割数が増えることで低下し(マークアップ率は68.7%から39.3%へ低下)、4分割では従来と逆転して東から西へ電力が流れるまでになります。
さらに、東電を6分割(!)、他社を2分割した非常にアグレッシブなシナリオ分析では、価格は10.61円/kWhまで減少しており、完全競争想定時の7.3-7.5円のレンジには及ばないものの、非常に安価な電力供給がなされるようになります。
2章:送電料金改革の効果分析―パンケーキ方式から郵便切手方式へ―
送電料金をパンケーキ方式(バーチャルに託送時の通過地域が重なるごとに課金を重ねる)から郵便切手方式(需要家立地に応じて発電者の場所を問わず全国一律に課金する)へ切り替えたことにより、完全競争下の前提で各地域における競争圧力が変化することを想定した全国的な電力の潮流図(連系線の送電量を含む)と生産者・消費者余剰等を分析しています。
分析結果としては、パンケーキ方式からの変更により西から東への潮流が起きるものの、東京の揚水発電容量の電力供給寄与率を一定のレンジ(50%)に置いた場合には東西の連系線がパンクするほどの送電量にはならない(ただし、40%にした場合にはフル送電になりますが)ということが分かります。
また、東京の揚水発電の想定をどちらのレンジにおいても、パンケーキ方式よりも郵便切手方式の方が東京の消費者価格は1円/kWh前後低くなるという結果が導き出されます。
1章:電力自由化はいかなる効果を持ったか―1990年代から現在までの定量的政策評価―
95年の発電自由化、99年の小売部分自由化の効果を、実際の財務諸表数値をベースにして制度変更を表現するダミー変数を含めた回帰分析で推測しています。
分析結果としては、98年度の供給費用を基準とした時に03年度時点では供給費用は16%(3.3円/kWh)低減しておりそのうち37%(1.3円/kWh)が制度変更の影響で、残りの63%(2.1円/kWh)の外的要因の変化のうち長期金利変化が40%、需要増加率変化が16%、燃料費変化が7%とまとめております。制度変更の影響は確かにあったが、実際には長期金利低下の影響が単独では最も大きかったのは若干皮肉ですね。
さらに同じような部分自由化が他の産業にも同様の影響を与え得るかということでガス産業の自由化に当てはめて試算しており、ガス事業では電力とは異なって家庭用料金への価格変化は起こらずもっぱら産業用価格の変化に結びついており、さらに社会全体の総余剰は減少したと結論づけて、部分自由化への政策提言として1)経営情報の公開促進と2)経済厚生の常態的な監視と勧告制度の創設を提言しています。
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