経営者
- 金銭的:金融機関に要求されて個人保証をしたり自宅を担保に入れていたりして倒産や事業譲渡などのトリガーがそのまま生活の破綻に繋がるのを避けたい
- 金銭的:同時にマジョリティ株主であることが多く、資産が紙くずになるのを避けるために実務上の粉飾などを指示することもできる(強いリーダーシップを効かせられることの裏返しなので、必ずしも悪い状態ではないですが)
- 精神的:「社長」としてのプライドを保ちたい、いい顔をしていたいので他社に買われて自分の居場所がなくなることを避けたい(僕が見てきた限り、大企業にも多い)
- 制度的:監査役はカイシャとの利害関係者であり、チェック&バランスを効かせるインセンティブはない(OBあるいは顧問弁護士・税理士等でお金をもらっている立場など)
株主
- プライド:一線を引いていても、創業者であると「自分の会社」という思いが強くて業績があまりに悪くなると介入して生き延びる方策を模索する(これは当たり前の行動かな)
- 人間関係:経営陣や他の株主との人間関係の維持を重視して損切りをしない(家族や友人などの場合)
市場・制度
- 株式の買い手を探しても二次市場が未成熟で仲介機関やリスクの取り手が少なく、また評価額が付かない
- うまく売却価額がついても非上場株の譲渡税が20%と高くて、売るメリットが削減されるので売りたくならない
金融機関
- 担当者:会計/財務についての専門家が少なく、粉飾的な怪しい数値にそもそも気づかない
- 担当者:減点主義の評価方法の場合では、数年間の担当の間に問題を起こしてほしくないので少々数字が怪しくてもつなぎの資金を通してしまいたくなる
- 組織:内部の貸出区分として正常先扱いしており、追加引当をする余裕が業績・自己資本ルール的にない
- 組織:事実上のDIP状態にあっても、メインとしてガバナンスを効かせるだけの余剰人員やスキルがない
従業員
- 個人:カイシャを守るために「阿吽の呼吸」で言われずとも数字を作ってしまう(カネボウとかこのケースですね
- 労働市場:売れるスキルやいざというときの社外ネットワークを持っていない、地方で他の雇用が少ないなどで事実上転職できない場合は、給料カットや粉飾でも命令を聞かざるを得ない
- 評価制度:実態がなくても経営陣が中身を見ずに作られた数字で評価されてしまう(売上だけで評価される営業、最終的に利益を作ることで評価される経理、など)
政治家(regulator)
- 選挙においてお世話になっている経緯があると、中小事業者にマイナスになるような政策は通しにくい
- さらに支援者が中小企業の社長であることが多いため、彼らを保護するための政策(例、リーマン・ショック後の金利支払の減免、手を変え品を変えた公共事業復活)を導入させて「実績」をアピールしたい
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