22 Jan 2011

財政危機と社会保障(著:鈴木亘)

財政危機と社会保障 (講談社現代新書)


  • 2010年度予算=財務(公債発行-償還+埋蔵金)で34兆円プラス=税収-支出で34兆円マイナス
    • 増税アプローチでは税率を倍近くしないとプライマリーバランス達成不可
    • 支出削減は避けられないが、支出の多くを占める社会保障「関係」費の20兆円は年金・医療保険・介護保険への補填で、全体で27兆円の年間1.3兆円の増加を容認
    • 2015年までにプライマリーバランス赤字を半減(=17兆円マイナス)、2020年までにプライマリーバランス達成のためにはメスをいれる必要
  • 政府債務対GDP費は200%超、ネット債務でも100%近い
    • 第二次大戦直後の財政状況に類似
    • 1945年秋から1949年春の3年半に消費者物価指数が98倍のインフレで解消
  • 日本の生産年齢人口は1995年の8700万人でピークアウト、2030年には7000万人(約2割減)、さらに2010年には2500万人になる可能性も
    • 高齢者を現役何人で支えるかは現在3人で1人が、2025年には2人で1人に
    • 年金の世代間賦課方式の維持には労働生産性向上and/or労働投入割合増加で年間2.7%改善を15年続ける必要
    • 00-05年の生産性上昇率が2.4%であることと、インフレ率を考えると不足(http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je07/07f21020.html)
  • 社会保障サービス(医療/介護/保育)は高い参入障壁と価格統制により、イノベーションが起きにくい業界構造になってしまっている
    • サービス業故にコストの大半は、価格統制の結果低く抑えられている人件費
    • 家計から徴収した税金が、設備投資に回るよりもほとんど家計にぐるっと戻るだけ
    • 現状の構造を維持したたまま、社会保障に公的資金をシフトする政策は成長戦略的には誤り

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