13 Jan 2007

プロフェッショナル原論(著:波頭亮)



経済的価値が優先される社会において、プロフェッショナルが生きる道を説いた本
です。薄く、表現は平易に書かれているので非常に読みやすいです。筆者は経営
コンサルタントですが、医者や弁護士などプロフェッショナルとされる専門的な職
の方々だけではなく働いている方全般に是非読んで欲しい本だと思います。

本の中では、ナイーブと言われても愚直にプロフェッショナルとしての倫理と掟を
守る姿が理想像として描かれており、全くもって同意します。筆者が挙げる掟は5つ
の要素から構成されています。
 1)Client interest first
 2)Output oriented
 3)Quality concious
 4)Value based
 5)Sense of ownership
まとめると、「クライアント(≠お客)へ最高品質の価値を実際に提供すること、
そしてそれを個人自らの責任として負う覚悟を持つこと」ということでしょう。

ある友人が「禁欲的な思想交流なり、互いの山への敬意なりが、孤独を耐えるひとつ
の明晰な手段なのではないか」と言っていました。
このようなプロフェッショナルの掟を自らに課し続けることは、孤独を受け入れて、
自覚的かつ選択的にいばらの道を独り裸足で歩むことでしょう。そしてその孤独と
痛み(孤独感)を受け入れるには、同じ道は歩けないけれども、同じように自覚的
かつ選択的に別のいばらの道を歩く人との交流が、自分の足を止めないでくれて
いるだと思います。
一方で、孤独という事実から来る孤独感を埋めようとする作業として、何か/誰か
と物理的/精神的に一体であるという幻想に浸ろうとするわけですが、僕はそれら
行為を否定するつもりはありません。
自分がどうしても「距離感のないキモチワルサ」を感じてしまう人間である以上、
決して孤独感が埋まりきらないことは分かっていても、自らの孤独のスタビライザー
として、余りに空しさを感じない範囲に於いて、自分の歯車を回すための潤滑油に
なっていると考えます。
生きていく上で、孤独という事実に気付いて受け止めようとする人にとっても
 "Remember no man is a failure who has friends."*
なのではないでしょうか。痛みを忘れたいときでも、痛みを感じている時でも。
*It's A Wonderful Life(邦題:素晴らしきか哉、人生!)より

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